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なぜ同じポジションでもエージェンシーのフィーが違うのか(そして、あなたがコントロールする方法)

交渉が始まる前に、契約形態がフィーの範囲を決めています。

Daniel Smith•2026年2月5日•更新日 2026年10月1日•10分

年収1,800万円のマーケティングディレクター採用で、3社のエージェンシーから見積もりが届きました。

  • A社:38%
  • B社:35%
  • C社:27%

依頼内容は同じ。市場も同じ。それなのに、最高値と最安値の差は198万円です。

よくある対応は、38%のA社に値引きを迫ることですよね。確かに多少は下がるでしょう。ただ、それは使える手段の中で最も小さいものなんです。

実は、この見積もりは電話が鳴る前から3つの変数でほぼ決まっています。そして、1つの変数が他の2つを合わせたよりも大きな影響を持っています。

交渉の前にフィーを決めている「契約形態」

成功報酬型、独占契約、リテイナー型のどれで依頼するか。この選択が、パーセンテージの話が始まる前にフィーの範囲を決めています。

エージェンシーは、その案件で報酬を受け取れる確率に基づいて価格を設定します。成功報酬型では、この確率が低くなります。他社も同じポジションを追いかけ、社内登用で埋まるかもしれず、案件自体が知らせもなく消えることもある。こうしたリスクを積み上げると、成功報酬型の成約率は約20%にとどまります。

5件に1件しか報酬にならないなら、1件の成功で4件分の損失を回収する必要があります。30〜40%という成功報酬型のフィーは、この計算から生まれているのです。

では、1社に独占で任せるとどうなるでしょうか。成約率は約80%まで上がります。5件中4件が決まるなら、低いパーセンテージを提示しても、手元に残る金額はむしろ増えるのです。

契約形態フィー成約率期待値(年収1,000万円の場合)
成功報酬型35%約20%70万円
独占契約25%約80%200万円

低い見積もりのほうが、エージェンシーの期待収益は3倍です。独占契約があなたにとって安いのは、エージェンシーにとって割が良いからです。

同じポジションを採用する2社の比較

どちらも同程度の年収でマーケティングディレクターを探しています。違うのは、エージェンシーへの依頼の仕方だけです。

A社のケース(成功報酬型):

  • 4社のエージェンシーに35%で依頼
  • 各社の稼働は10時間程度。他の案件と天秤にかけながらの対応
  • 各社の成約確率は約20%
  • 採用担当は、4つの窓口から届く候補者の重複整理に25時間以上
  • 充足まで90日
  • フィー:630万円

B社のケース(独占契約):

  • 1社に27%で依頼
  • エージェンシーの稼働は40時間。決まれば自社の成約になる可能性が高いからです
  • 成約確率は約80%
  • 採用担当の窓口は1社のみ、対応は8時間
  • 充足まで60日
  • フィー:486万円

どちらの採用にも、エージェンシー側の稼働は合計40時間投下されています。それでもB社はフィーを144万円抑え、1ヶ月早くポジションを埋め、17時間の調整業務を取り戻しました。

4社に声をかけると、カバレッジが広がったように感じますよね。でも実際には、各社は3社の競合を見て稼働を薄く配分します。そして、あなたが払う高めのパーセンテージは、業界全体で報酬にならなかった案件の穴埋めに充てられているのです。

ご自身の想定年収と契約形態で、この計算を確かめてみてください。

上の2社の例では、契約形態の選択だけでフィーが100万円以上動きました。

残る2つの変数

契約形態がフィーの範囲を決めます。その範囲の中のどこに着地するかを決めるのが、残りの2つです。

企業としての条件

知名度のあるブランドは、見積もりを引き下げます。大手日系企業や多国籍企業の成功報酬型フィーが30〜35%に収まりやすいのは、候補者の承諾が早く、その実績がエージェンシーの営業材料にもなるからです。

一方、若い会社は同じ採用に割増料金を払うことになります。日本の候補者は今も安定性を重視するため、シリーズB前のスタートアップは口説くのが難しく、エージェンシーはその難易度を価格に織り込みます。見積もりが40%近くまで上がることも珍しくありません。公開されているフィー・給与データを見ると、この傾向は市場全体に現れています。企業のステージはすぐには変えられません。ただ、この割増の存在を知っていれば、一見不可解な見積もりにも説明がつきます。

求人設計

エージェンシーは、届いた依頼すべてに対して成約確率を見積もっています。成功報酬型の依頼は、受けてもコストがかかりません。そのため、非現実的な要件でも断られはしません。ただ、稼働が割かれないだけです。

要件に見合った年収が提示されていれば、「埋まる案件」として扱われます。市場の実態を超えた必須要件リストは、「棚上げする案件」として扱われます。バイリンガルで、35歳以下で、経験10年以上、転居可能、年収ダウンも受け入れる。このリストを読んだコンサルタントは全員、その候補者が存在しないことを知っています。

埋まりそうにない依頼は、契約書のパーセンテージがいくらであっても後回しにされます。見積書には35%と書いてあっても、ヘッドハンティングの稼働は発生しません。そして、複数のエージェンシーが同じポジションで揃って停滞しているとき、共通する原因はたいてい依頼内容そのものです。

交渉でよくある間違い

多くの採用チームは、契約形態という決め手を放置したまま、パーセンテージを争っています。

年収1,800万円の案件で、成功報酬型の35%を32%まで下げれば、54万円の節約になります。決して小さな金額ではありません。ただ、エージェンシーの置かれた状況は何も変わっていません。成約確率20%、同じ競合、同じ薄い稼働。変わったのは、利益率が少し下がったことだけです。

同じ案件を成功報酬型35%から独占契約27%に切り替えると、節約額は144万円。そして、エージェンシーの仕事の中身が変わります。成約がほぼ自社のものになるため、コンサルタントは競合とデータベースの早押し競争をする代わりに、転職市場に出ていない候補者へのヘッドハンティングに時間を使えます。同じ経歴書を先に送られる心配がないので、スクリーニングも丁寧になります。

さらに、そのパーセンテージに何を掛けるかは契約書が決めます。同じ料率でも、理論年収に掛けるのか基本給に掛けるのかで請求額は変わります。契約形態を決めた後のパーセンテージ交渉については、エージェンシーフィーの交渉方法が参考になります。

次の見積もりで聞くべき質問

次に35%の見積もりが届いたら、一つだけ聞いてみてください。「独占でお任せした場合、フィーはいくらになりますか?」

数字は下がります。独占契約では、投下した稼働時間が報酬につながる確率が高いからです。エージェンシーにとっては、消えるかもしれない案件の35%より、決まる案件の27%のほうが良い商売なのです。

冒頭のマーケティングディレクター案件に生まれた198万円の差も、まさにここから来ていました。C社は独占契約を前提に価格を出し、A社とB社は成功報酬型の競争を前提に価格を出していた。同じポジションの裏に、2つの異なる経済構造があったわけです。

契約形態を選んだ時点で、フィーの大部分は決まっています。

AirTAは、エージェンシーがフィーを明示した上で独占案件に提案するマーケットプレイスです。契約前に独占契約のフィーを比較してみませんか? 無料で求人を掲載して、提案を並べて比較できます。

よくある質問

なぜ同じポジションでもエージェンシーによってフィーが違うのですか?

見積もりには3つの変数が反映されています。契約形態(成功報酬型か独占契約か)、採用企業のプロフィール(ブランド力、安定性への評価)、そして求人の埋まりやすさ(現実的な要件、競争力のある年収)です。最も影響が大きいのは契約形態で、独占契約は20〜30%、成功報酬型は30〜40%が相場です。

日本の人材紹介フィーはなぜ高いのですか?

日本の成功報酬型市場は、極端に細分化されています。3万か所を超える有料職業紹介事業所が成約を奪い合い、企業は1つの採用に4〜5社へ依頼するのが一般的で、各社の成約率は約20%まで下がります。フィーは、この失敗率を吸収できる水準に設定されているのです。

エージェンシーのフィーを下げるには、どう交渉すればいいですか?

パーセンテージの前に、契約形態を決めることをおすすめします。成功報酬型から独占契約に切り替えると、提示されるパーセンテージが下がると同時に、サービスの質も上がります。エージェンシーが報酬を受け取れる確率が上がるからです。パーセンテージだけを争う交渉(35%を32%に)は、節約額が小さいうえ、エージェンシーの動き方を何も変えません。

なぜエージェンシーは独占契約なら低いフィーを受け入れるのですか?

めったに入らない大きなフィーより、高い確率で入る報酬のほうが価値があるからです。成約率80%なら、25%のフィーで期待値は約200万円。成約率20%では、35%のフィーでも期待値は70万円にとどまります。稼働1時間あたりで見れば、独占契約のほうがエージェンシーにとって実入りが良いのです。

高いフィーを払う価値はありますか?

それ自体に価値があることは、ほとんどありません。高いパーセンテージはたいてい、決まらなかった案件を穴埋めするための成功報酬型の価格構造を示しているだけで、優れたサービスの証ではないからです。独占契約のほうが低いパーセンテージで良い結果につながりやすいのは、成功が見込めるからこそエージェンシーが十分な稼働を投下できるためです。

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