[jump-to:マーケットマップを作成する|builder:market-map]
前回のサーチでクライアントに送ったマーケットマップを、開いてみてください。
会社名、氏名、現在の年収、メモ欄。40行も並ぶと、それはもう進捗管理シートです。クライアントもそう扱います。ざっと流し見て、「それで、ショートリストはいつ届きますか?」と聞いてくるわけです。
マーケットマップの役割は、ひとつだけ。タレント市場全体を一目で見渡せることです。誰がいて、どう違い、誰がフィットするのか。
ただ、手元のスプレッドシートとその状態の間には、2つの壁があります。
ひとつは、マーケットマップに何を含めるべきか、業界内でも定義が定まっていないこと。もうひとつは、候補者データをクライアントが「見たくなる」形に仕上げるには、本来リクルーターの仕事ではないデザイン作業が必要なことです。
グリッド:アーキタイプ × 企業ステージ
エグゼクティブサーチのマーケットマップが「マップ」と呼べるのは、2つの軸があるからです。行は、候補者が実績で証明してきたリーダーシップの型。列は、それを発揮してきた企業のステージです。
リーダーシップアーキタイプ(行):
- ビルダー:0→1 または 1→10 の創造
- スケーラー:10→100 の成長と複雑性拡大
- オペレーター:運営、最適化、安定した成果創出
- トランスフォーマー:老朽化したエンジンの刷新
- ターンアラウンド:業績低下の安定化、コスト削減
- プロフェッショナライザー:創業者体制→組織化、直感→システム
- インテグレーター:地域・機能・M&A後の統合
- イノベーター:次の成長エンジン創出
企業ステージ(列):
- スタートアップ:PMF前、50人未満
- スケールアップ:急成長、インフラ構築中
- レイトプライベート:成熟した非上場またはPE支援
- 上場(中小型):上場しているがアジャイル
- 上場(大型):エンタープライズの複雑性
各セルは、その候補者が何のために作られた人材かを教えてくれます。同じ職務経歴書でも、グリッド上の位置が変われば意味が変わるんです。
成熟した組織を完璧に回せるオペレーターが、白紙の組織図を渡された途端に止まってしまう。創業者の隣で輝いていたビルダーが、大企業のプロセスに埋もれてしまう。よくある話です。
2つの軸でプロットしておけば、面談を設定する前にフィットが見えてきます。
マーケットマップに含めるべき項目
サーチレベルの情報
候補者を載せる前に、まずマップの枠組みを示します:
- 役割:ファイナンス、エンジニアリング、オペレーション、ゼネラルマネジメントなど
- シニオリティ:ディレクター、VP、CxO、パートナー、オーナー
- 説明:サーチの範囲、クライアントの背景、案件の特殊事情
候補者レベルのデータポイント
候補者ごとに:
必須:
- 氏名:フルネーム
- 現在の会社:現職の会社名
- 所在地:都市または地域
分類:
- プライマリアーキタイプ:上記8つの行のいずれか
- 企業ステージ:スタートアップ、スケールアップ、レイトプライベート、上場
- 転職意向:アクティブ(転職活動中)、パッシブ(オープンだが活動していない)、転職意向なし
- フィット:Yes(強くフィット)、Maybe(条件付きで可能)、No(除外)
- 優先度:A(トップ)、B(有力)、C(バックアップ)
任意:
- 役職:現在の役職
- 業界:専門セクター
- 経験年数:経験年数帯
- 年収:現在の報酬
- メモ:フィットの根拠、懸念事項、アウトリーチ状況
マーケットマップを作成する
役割とシニオリティを設定し、候補者にアーキタイプとステージを付けて追加していくと、グリッドが埋まっていきます。仕上がりに納得できたら、クライアント向けPDFを出力してください。
PDFは5つのセクションで構成されます:
- 表紙:役割、シニオリティ、御社のロゴ
- エグゼクティブサマリー:候補者数とステータス内訳
- マーケットマップ:アーキタイプ × ステージのマトリックス(番号付きドット)
- 候補者インデックス:グリッド上の全候補者の詳細
- アーキタイプ定義:あなたが同席していなくても、クライアントが行の意味を読み解けるリファレンスページ
クライアントへのプレゼン方法
サーチの枠組みを示す
まず表紙から。役割とシニオリティに10秒だけ触れることで、クライアントがいきなり候補者名に飛びつくのを防げます。
グリッドをウォークスルーする
会話の主役はマトリックスです。浮かび上がるパターンを指摘しましょう。
ビルダーは豊富なのに、スケールアップ段階のオペレーターは薄い。候補者が大手上場企業に集中していて、動かすには相当説得力のあるストーリーが必要。トランスフォーマーの行が空白なら、クライアントの求めるプロファイルはこの市場では希少だ、ということです。
優先候補者をレビューする
会話の順序は、フィットと優先度が決めてくれます。
まずAランクから。一人ひとりにフィットの根拠とアウトリーチプランを添えます。次にBランクを有力な代替候補として、なぜトップに入らなかったのかの理由とともに。Cランクは、留意点を含めて一人一文で十分です。
アノテーションを使う
マップレベルのメモには、個々の候補者では語れないコンテキストを載せられます。市場状況、報酬ベンチマーク、タイミングの制約など。PDFには専用セクションが用意されています。
マーケットマップでよくある2つの失敗
詰め込みすぎる。 列がひとつ増えるたびに、クライアントの視線は遅くなります。「眺める」ではなく「読み込む」必要が出た時点で、渡しているのはマップではなくデータベースです。意思決定に効くフィールドだけを残し、それ以外はATSに置いておきましょう。
作業ファイルをそのまま送る。 生のスプレッドシートやCSVは、プレゼンにどれだけ手をかけたかを、そのままクライアントに伝えてしまいます。マーケットマップはサーチで最初に届く成果物になることが多く、その後のすべての期待値を決めます。サーチを回すのはスプレッドシート。サーチを売るのはマップです。独占契約に値する仕事を届けましょう。
独占サーチを勝ち取るマーケットマップを提示する準備はできましたか? AirTAは、エージェンシーが提案で独占サーチを競うマーケットプレイスです。エージェンシーアカウントを作成して、募集中の求人を見てみてください。