AirTAの企業ディレクトリに載っている企業を、厚生労働省の「女性の活躍推進企業データベース」(2026年10月9日時点)と法人番号で突き合わせると、男性育休の取得率の中央値は日系企業142社で85.9%、外資系企業34社で58.6%です。数字は各社が全社的な雇用管理区分で公表した、データ集計時点が2025年以降の値で、日本の全企業の集計ではありません。100%を超える値を公表した13社は、すべて日系企業です。
製薬・医療機器の36社と、それ以外の業界の外資系20社は、企業名と区分、データ集計時点をつけて取得率の順に並べました。
男性育休の取得率とは(育休をした人÷配偶者が出産した人)
女性の活躍推進企業データベースの「男女別の育児休業取得率」は、配偶者が出産した男性労働者の数に対する、育児休業をした男性労働者の数の割合です(女性活躍推進法の省令第2条第1項第11号)。企業は雇用管理区分ごとにこの割合を公表します。育児・介護休業法の公表値は基準が異なり、有価証券報告書の値はどちらの基準の場合もあります。
掲載した取得率は、法人番号で一致し取得率の値がある271社のうち176社の公表値です。選んだ条件は5つあります。雇用管理区分が正社員や全従業員など全社的な区分であること、データ集計時点が2025年以降であること、データの対象が単体であること(グループ(連結等)の値は含みません)、持株会社やグループ会社名義の公表でないこと、備考に育児休業以外の休暇を含むと書かれていないことです。このほか、公表値の対象が一部の事業所に限られる1社を除きました。
データベースの項目は育児休業のみを数える定義ですが、備考で育児目的休暇、配偶者出産休暇、会社独自の休暇などを含むと書いた企業があるため、その企業は除いています。備考から含むかどうかを読み取れない企業も除きました。残った値は公表どおりで、100%を超える値も0も含みます。
育児休業中の給付金の額については育休手当の上限にあります。
外資系34社の中央値は58.6%、日系142社は85.9%
外資系企業は、最終的な支配グループの本社が日本国外にある企業です(外資系企業の定義と社数)。
女性の活躍推進企業データベースオープンデータ(2026年10月9日時点)(https://positive-ryouritsu.mhlw.go.jp/positivedb/opendata/)を加工して作成
企業規模の構成は2つの行で異なります。データベースの企業規模区分で5001人以上は、外資系34社のうち2社、日系142社のうち30社です。1001~5000人は外資系18社、日系59社です。差の原因はこの集計からはわかりません。
各社が全社的な雇用管理区分で公表した2025年以降の男性の育児休業取得率の中央の半数(p25〜p75)と中央値。100%を超える値は公表どおり含めて集計。女性の活躍推進企業データベースオープンデータ(2026年10月9日時点)(https://positive-ryouritsu.mhlw.go.jp/positivedb/opendata/)を加工して作成
企業別の男性育休取得率(製薬・医療機器・外資系56社)
表は各社が公表した男性の育児休業取得率の順に並べたもので、育休の取りやすさの順位ではありません。区分とデータ集計時点は企業ごとに異なります。
名前を載せたのは、条件に沿う176社のうち、製薬または医療機器の求人を掲載する36社と、それ以外の業界の外資系20社です。企業名から各社のページを開けます。2つの表に重複する企業はありません。
製薬・医療機器の36社(日系・外資系)
※ 100%を超える値は公表どおり掲載しています。0の値も公表どおりで、バイオジェン・ジャパン株式会社の行にはデータベースの備考に「育児休業以外の特別休暇の利用例あり」とあります。
出典:女性の活躍推進企業データベースオープンデータ(2026年10月9日時点)(https://positive-ryouritsu.mhlw.go.jp/positivedb/opendata/)
外資系の20社(製薬・医療機器以外)
企業名は各社の登記上の名称で、データベースの公表名と表記が異なる場合があります。
出典:女性の活躍推進企業データベースオープンデータ(2026年10月9日時点)(https://positive-ryouritsu.mhlw.go.jp/positivedb/opendata/)
【業界別】中央値は73%から93.9%まで
求人を掲載する企業の7業界(各10社以上)
条件に沿う176社のうち、AirTAの求人の業界タグで10社以上になる業界は7つです。中央値は電機・電子部品の73%から化学・素材の93.9%までにあります。
女性の活躍推進企業データベースオープンデータ(2026年10月9日時点)(https://positive-ryouritsu.mhlw.go.jp/positivedb/opendata/)を加工して作成
一社の求人が複数の業界に数えられるため、行の社数を足し合わせることはできません。製薬と医療機器はそれぞれ別の中央値で、一つの数字にまとめることもできません。金融は10社に届かないため、この表に行がありません。
データベース全体11,374社の業種別・企業規模別
同じ条件をデータベースの全企業に当てると11,374社が残り、中央値は69.2%、中央の半数は33〜100%、100%を超える値は265社です。この集計には、持株会社を除く条件は当てていません。業種と企業規模はデータベースの分類で、業種は一部を抜粋しています。
女性の活躍推進企業データベースオープンデータ(2026年10月9日時点)(https://positive-ryouritsu.mhlw.go.jp/positivedb/opendata/)を加工して作成
この表は、データベースに公表した企業の値をまとめたものです。
取得率の基準は法律ごとに3つある
男性育休の取得率には、公表の根拠となる法律ごとに3つの基準があります。同じ企業でも、どの基準の値かで数字は変わります。
女性の活躍推進企業データベースの定義は育児休業のみ・区分ごと
女性活躍推進法の省令第2条第1項第11号は、「その雇用する男性労働者であって配偶者が出産したものの数に対するその雇用する男性労働者であって育児休業をしたものの数の割合」を「男女別の育児休業取得率」と定めています。データベースの学生・求職者向けQ&Aも、「女性の活躍推進企業データベースの項目では、女性活躍推進法に則り「男女別の育児休業取得率」と表記しています。」と書いています。
雇用管理区分は、同じ省令で「職種、資格、雇用形態、就業形態等の労働者の区分であって、当該区分に属している労働者について他の区分に属している労働者とは異なる雇用管理を行うことを予定して設定しているもの」と定義されています。第19条第2項により、企業は雇用管理区分ごとの実績をそれぞれ公表します。全体のおおむね10分の1に達しない区分は、類似の区分と合わせて一つの区分として公表できます。
上の表に「正社員」「対象とする労働者すべて」「全体」が並んでいるのは、各社が選んだ区分をそのまま載せているからです。
出典:女性の活躍推進企業データベースオープンデータ(2026年10月9日時点)(https://positive-ryouritsu.mhlw.go.jp/positivedb/opendata/)
女性の活躍推進企業データベースオープンデータ(2026年10月9日時点)(https://positive-ryouritsu.mhlw.go.jp/positivedb/opendata/)を加工して作成
育児・介護休業法の公表は①育休等か②育児目的休暇を含むか
育児・介護休業法第22条の2に基づく公表では、企業が2つの割合のどちらかを選びます(施行規則第71条の6)。厚生労働省のリーフレットの書き方では、①育児休業等の取得割合は、育児休業等をした男性労働者の数÷配偶者が出産した男性労働者の数です。②育児休業等と育児目的休暇の取得割合は、(育児休業等をした男性労働者の数+小学校就学前の子の育児を目的とした休暇制度を利用した男性労働者の数)÷配偶者が出産した男性労働者の数です。
育児休業等には産後パパ育休を含みます。
厚生労働省イクメンプロジェクトの令和5年度調査報告書によると、調査に回答した従業員1,000人超の企業1,390社が公表した、または公表を予定していた内容は、①が77.6%、②が22.4%でした(2023年6月1日時点)。1,390社のうち45.1%は、この時点ではまだ公表しておらず、公表を予定していた企業です。
有価証券報告書は提出会社と連結子会社ごと
金融庁は2023年1月31日に、「「女性管理職比率」、「男性の育児休業取得率」及び「男女間賃金格差」を公表する場合には、公表するこれらの指標について、有価証券報告書等においても記載を求めることとします。」と公表し、2023年3月31日以後に終了する事業年度の有価証券報告書から適用しました。記載するのは「最近事業年度の提出会社及びその連結子会社それぞれにおける男性労働者の育児休業取得率」で、定義は女性活躍推進法の省令の項目か、育児・介護休業法施行規則の①②のいずれかです。
このため、有価証券報告書から作られた一覧には異なる基準の値が並ぶことがあります。
計算方法の関係で100%を超えることがある
育児・介護休業法に基づく公表値について、イクメンプロジェクトの令和5年度調査報告書は「計算方法の関係上、男性の育児休業等取得率は100%を超える場合がある。」と書いています。
同じ法律のリーフレットのQ&Aは、育児休業等の数え方を2つ示しています。Q4は「育児休業を開始した日を含む事業年度の取得として計算します。分割して取得した場合は、最初の育児休業等の取得のみを計算の対象とします。」、Q3は「当該休業や休暇が同一の子について取得したものである場合は、1人として数えます。」です。
この説明は育児・介護休業法に基づく公表値についてのものです。上の表の値は女性の活躍推進企業データベースの公表値です。
国の調査の50.9%は事業所を対象にした別の統計
厚生労働省の令和7年度雇用均等基本調査(2026年7月31日公表)によると、男性の育児休業取得者の割合は50.9%で、前回は40.5%でした。6,300事業所を対象にした調査で、3,291事業所から有効回答を得ています。
50.9%は、令和5年10月1日から令和6年9月30日までの1年間に配偶者が出産した男性のうち、令和7年10月1日までに育児休業(産後パパ育休を含む)を開始した人(申出をしている人を含む)の割合です。企業が自社について公表した値を集計した上の各中央値とは、対象も計算方法も異なるため、比較できません。
公表義務は2025年4月から従業員300人超の企業に
公表の内容と時期(年1回・①か②を選ぶ)
育児・介護休業法第22条の2は、「常時雇用する労働者の数が三百人を超える事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、毎年少なくとも一回、その雇用する労働者の育児休業の取得の状況として厚生労働省令で定めるものを公表しなければならない。」と定めています。2025年3月31日までの条文は「千人を超える事業主」でした。
厚生労働省のリーフレットによると、従業員1,000人超の企業には2023年4月から、300人超1,000人以下の企業には2025年4月1日から公表が義務づけられています。公表するのは上の①か②のどちらかの割合で、施行規則第71条の5により「インターネットの利用その他の適切な方法」で公表します。時期について、リーフレットのQ6は「公表前事業年度終了後、おおむね3か月以内に公表してください。」と書いています。
公表の場所として厚生労働省が案内しているのは、同省が運営する両立支援のひろばで、リーフレット(2024年5月作成)の時点で12万社以上が登録しています。厚生労働省の公表義務の案内ページにリーフレットがあります。
企業の取得率を調べる方法
一つの企業の男性育休の取得率を調べる方法は3つあります。
- 女性の活躍推進企業データベース。データ項目で「男女別の育児休業取得率」を選ぶと、雇用管理区分ごとの値を見られます。オープンデータも同じサイトにあります。
- 両立支援のひろばの企業検索。企業名、所在地、業種などから検索でき、育児・介護休業法に基づく公表値を見られます。
- 有価証券報告書。提出会社と連結子会社それぞれの値が載ります(2023年3月31日以後に終了する事業年度から)。
取得率や取得実績を求人に書く企業もあります。その数え方と割合は産休・育休の取得実績を書いた求人にあります。
男性育休の取得率についてよくある質問
男性育休取得率が高い企業は?
上の2つの表に、製薬・医療機器の36社と、それ以外の業界の外資系20社を取得率の順に並べています。
男性育休が取りやすい会社は?
掲載した値は各社が公表した取得率で、育休の取りやすさを示す数字ではありません。取得率は休業の長さを含みません。イクメンプロジェクトの令和5年度調査報告書は、従業員1,000人超の企業181社について「男性の育児休業等取得率と平均取得日数には、弱い負の相関があった。」(相関係数−0.39)と書いています。
企業における育休取得率は?
女性の活躍推進企業データベースに公表した企業のうち、全社的な区分でデータ集計時点が2025年以降の値を単体で公表し、育児休業以外の休暇を含むと書いていない11,374社の中央値は69.2%です。国の雇用均等基本調査の値は事業所を対象にした別の統計で、上の「国の調査」の項にあります。
男性育休の取得率は、どの法律のどの計算式で、どの区分について公表された値かで変わります。
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