育休手当(育児休業給付金)の上限30日分332,454円(2026年8月1日改定)は、賞与がない場合、年収5,954,400円からかかります。年収1,000万円では、上限額は月平均の手取り606,186円の54.8%で、出生後休業支援給付金を合わせた28日間も、同じ日数分の手取りの66.4%です。
計算は、1社から給与だけを受け取る単身者(扶養親族なし)が東京都の協会けんぽに加入し、年収を12等分で受け取る場合の目安です。給付は支給単位期間(30日分)ごとの額を、手取りは年額を12で割った月平均の額を比べています。
育休手当の上限は30日分332,454円(2026年8月から)
育休手当(育児休業給付金)の上限額は、2026年8月1日から2027年7月31日まで、休業開始から180日目までが30日分で332,454円(給付率67%)、181日目以降が248,100円(給付率50%)です。休業開始時の賃金月額が496,200円を超える人は、496,200円をもとに支給額が計算されます。
厚生労働省の「令和8年8月1日から支給限度額が変更になります」と「育児休業等給付の内容と支給申請手続」(p.16)に掲載された額です。
支給額の計算式は、同じ資料(p.16)によると「休業開始時賃金日額×支給日数×67%(育児休業開始から181日目以降は50%)」です。休業開始時賃金日額は、休業開始前の直近6か月に支払われた賃金(臨時に支払われる賃金と、賞与など3か月を超える期間ごとに支払われる賃金を除く)の総額を180で割った額です。支給日数は「原則30日間」で、支給単位期間は「育児休業を開始した日から起算した1か月ごとの期間」です(p.17)。
勤務先が育休中に賃金を支払う場合、その額が「休業開始時賃金日額×休業期間の日数」の13%以下であれば給付金は減額されず、80%以上であれば支給されません(p.16-17)。
上限額は毎年8月1日に改定されます。厚生労働省の資料によると、育児休業等給付は「支給限度額を設定しており、毎月勤労統計の平均定期給与額の増減をもとに、その額を変更します」。給付率67%の上限は、2025年8月の323,811円から2026年8月に332,454円になりました。
支給期間は、休業開始日から「子が1歳(いわゆるパパ・ママ育休プラス制度を利用して育児休業を取得する場合は1歳2か月。さらに保育所における保育の実施が行われない等の場合は1歳6か月または2歳)に達する日前まで」です(p.10)。申請は原則として勤務先が行い、同じ資料(p.18)は、育児休業給付金と出生後休業支援給付金の支給を受けるには「被保険者を雇用している事業主の方が」受給資格確認の手続を行う必要があるとしています。受給に必要な被保険者期間と育休中に退職した場合の給付金の扱いには、別の要件があります。
上限がかかる年収は賞与なしで約595万円から
賞与がなく年収を12等分で受け取る場合、年収5,954,400円が境目です。
賞与は休業開始時賃金日額の基礎に入りません。同じ年収でも賞与の月数が多いほど月々の賃金は少なくなり、上限がかかる年収は高くなります。
賞与の月数で上限がかかる年収は変わる
休業開始時の賃金月額の上限496,200円に、12か月と賞与の月数を足した数を掛けた額です。
賞与を年2回、合わせて4か月分支給する会社でも、年収800万円以上では月々の賃金が496,200円を超えるため、上限がかかります。
賞与4か月の年収700万円は上限より低い293,118円
年収700万円のうち4か月分が賞与の場合、休業開始時の賃金月額は437,500円、賃金日額は14,583円で、上限はかかりません。支給額は30日分で、67%の期間が293,118円、50%の期間が218,745円、出生後休業支援給付金を合わせた28日間が326,659円です。
賞与なしの年収700万円は上限がかかって332,454円です。同じ年収700万円でも、賞与が4か月分ある人の支給額のほうが少なくなります。
賞与4か月の月平均の手取りは442,804円で、67%の期間の支給額はその66.2%です。賞与なしの75.1%より低くなります。
育休中の給付は年収700万円で手取りの75.1%
年収700万円以上は、賞与なしならどの年収でも上限がかかるため、支給額は67%の期間が30日分332,454円、50%の期間が248,100円で同じです。月平均の手取りに対する割合は、年収700万円の75.1%から1,500万円の39.0%まで下がります(40歳未満)。
40歳未満、賞与なし、単身・東京都の協会けんぽの目安。
月平均の手取りは、年収700万円の手取りと年収800万円の手取りと同じ条件で計算した目安で、年間では700万円が5,308,760円、800万円が5,947,636円、1,000万円が7,274,228円、1,500万円が10,239,316円です。額面の月給に対する割合は、年収700万円の67%の期間で57.0%です。
40〜64歳も支給額は同じです。介護保険料がかかるため月平均の手取りが少なく、割合はわずかに高くなります。
住民税は育休中も前年の所得で課税される
育休中も住民税の負担は続きます。東京都主税局によると、「所得割は、前年の所得金額に応じて課税されます。」
働いていた年と同じ給与にかかる住民税を月割りにして給付金から引くと、月平均の手取りに対する割合は、年収700万円の67%の期間で68.1%、1,000万円で46.1%になります。181日目以降の50%の期間では、年収700万円で49.0%です。
育休中の所得が減れば、翌年度の住民税は下がります。
社会保険料は免除され、給付金は非課税
育休中は、健康保険料と厚生年金保険料の負担がなくなります。日本年金機構によると、「健康保険・厚生年金保険の保険料は、被保険者が育児休業の期間中に事業主が年金事務所に申し出ることにより被保険者・事業主の両方の負担が免除されます。」免除された期間は、「将来、被保険者の年金額を計算する際は、保険料を納めた期間として扱われます。」
子ども・子育て支援金も、こども家庭庁のQ&Aによると「企業の従業員については、医療保険料や厚生年金保険料と同様に支援金も免除されます」。厚生労働省の資料(p.1)は、「勤務先から給与が支給されない場合は雇用保険料の負担はありません」としています。免除される月の数え方と賞与にかかる保険料には、別の要件があります。
働いているときに負担しているこれらの保険料等は、年収700万円(40歳未満)で月86,637円です(健康保険料、子ども・子育て支援金、厚生年金保険料の本人負担分と雇用保険料)。表の割合は手取りに対するものなので、この免除分はすでに差し引いた後の比較です。
給付金は非課税です。国税庁は、育児休業給付金が雇用保険法の失業等給付にあたり、「同法第12条の規定により課税されないこととなっています」と説明しています。厚生労働省のQ&A~育児休業等給付~(令和8年8月版)のQ100も、「育児休業等給付は非課税所得なので、課税対象となりません。」としています。
出生後休業支援給付金は夫婦とも14日以上の育休が条件
出生後休業支援給付金は、子の出生後の一定期間に本人と配偶者の両方が14日以上の育児休業を取得した場合に、28日を上限に休業開始時賃金日額の13%が支給される給付です。厚生労働省の資料(p.13)は、支給要件を次のように書いています。
- 「同一の子について、育児休業給付金が支給される育児休業を対象期間に通算して14日以上取得した被保険者であること。」
- 「被保険者の配偶者が、「子の出生日または出産予定日のうち早い日」から「子の出生日または出産予定日のうち遅い日から起算して8週間を経過する日の翌日」までの期間に通算して14日以上の育児休業を取得したこと、または、子の出生日の翌日において「配偶者の育児休業を要件としない場合」に該当していること。」
本人の対象期間は、父親の場合は配偶者と同じ8週間、産後休業をした母親の場合は16週間です。産後パパ育休(出生時育児休業)の日数も通算します。
配偶者の育児休業を要件としない場合は、配偶者がいない、配偶者が無業者、配偶者が自営業者やフリーランスなど雇用される労働者でない、配偶者が産後休業中、などの場合です。厚生労働省のQ&AのQ37は、「この例外は以下の場合に限定され、単に配偶者の業務の都合により育児休業を取得しない場合等は含みません」とし、Q39は「配偶者が専業主婦(夫)である等、無業者である場合は、ご自身のみ育児休業を14日以上取得すれば支給対象になります」としています。
28日間の給付は年収700万円で手取りの91.0%
出生時育児休業給付金(67%の28日分)310,290円と出生後休業支援給付金60,205円を合わせた28日間の上限は370,495円です。母親が育児休業給付金として受け取る場合も、67%の28日分の額は同じです。年間の手取りの28日分と比べると、年収700万円で91.0%、1,000万円で66.4%です。
賞与なし、28日分の手取りは年間の手取りの28÷365。
厚生労働省の資料(p.1)は、「育児休業等給付は非課税です。このため、休業開始時賃金日額の80%の給付率で手取り10割相当の給付となります。ただし、休業開始時賃金日額の上限額(P5及びP16参照)があることにご留意ください。」と書いています。上限がかかる年収では、80%の給付率は上限の賃金日額16,540円に対するもので、実際の賃金に対する率はそれより低くなります。
夫の育休手当の上限は妻と同じ332,454円
夫の育休手当(育児休業給付金)の上限は、妻と同じ30日分332,454円(給付率67%)、181日目以降は248,100円(給付率50%)です。男性が育児休業を取る場合も上限は変わらず、休業開始時の賃金月額496,200円で決まります。
支給額は、雇用保険法第61条の7第6項のとおり、父母それぞれの休業開始時賃金日額から計算します。一方の年収で上限がかかっても、もう一方の給付は本人の賃金で計算されます。
時短勤務の給与と給付金(賃金の10%、子が2歳まで)
時短勤務中の給与が所定労働時間に比例して減る場合、1日8時間を6時間にすると給与は75%になります。年収700万円なら時短中の年収は525万円で、月平均の手取りは442,397円から343,118円になります(40歳未満)。これとは別に、育児時短就業給付金が月43,750円支給されます(時短中の月給437,500円の10%)。
厚生労働省の「育児時短就業給付の内容と支給申請手続」によると、支給額は時短中の賃金が開始時賃金月額の90%以下の場合に「育児時短就業中の各月に支払われた賃金額 × 10%」で、90%超〜100%未満では支給率が調整されます。開始時賃金月額には496,200円の上限があり、「支給対象月に支払いを受けた賃金の額が支給限度額(484,121 円)以上であるときには、育児時短就業給付は支給されません。」年収800万円以上では時短中の月給が500,000円以上でこの限度額を超えるため、給付金は0円です。
支給対象は「2歳未満の子を養育するために、1週間当たりの所定労働時間を短縮して就業する被保険者であること」で、育児休業から引き続き時短に入るか、開始前2年間に一定の被保険者期間があることが要件です。時短勤務の措置の対象は子が3歳になるまで(育児・介護休業法第23条)で、給付金は子が2歳になるまでのため、3年目の時短には給付金がありません。
343,118円は時短の年収に住民税がかかるようになった後の額で、時短1年目はフルタイムの年の給与にかかる住民税が課税されます。賞与の扱いは勤務先の規程で決まるため、この計算には含めていません。育児時短就業給付金も育児休業等給付の一つで、非課税です。
育休手当の上限がかかる年収では、年収が上がっても支給額は変わらず、月平均の手取りに対する割合だけが下がります。育休が181日目以降に入ると給付率は50%になり、年収700万円でも住民税を引いた後は月平均の手取りの49.0%です。