各社の採用ページに掲載された日本語の求人27,875件・867社(2026年10月時点)のうち、配偶者出産休暇の記載を確認できた求人は7.5%(2,079件・50社)、男性育休は3.6%(1,000件・56社)でした。子育て中のパパの転職で、新しい勤務先で子の誕生前後に休めるかは、法律で決まる部分と会社が決める部分に分かれます。産後パパ育休(出生時育児休業)は、子の出生後8週間以内に4週間(28日)までと育児・介護休業法が定めています。配偶者出産休暇は法律に日数の定めがなく、日数も有給かどうかも会社の制度によります。
子持ちの男性の転職で変わるものは、この休暇のほかに、転職先での入社1年未満の産後パパ育休の扱い、共働きの夫婦の給付金、転勤の扱いです。
配偶者出産休暇を書いた求人は7.5%(2,079件・50社)
配偶者出産休暇を書いた2,079件のうち、日数まで書いた求人は1,093件・8社、有給と書いた求人は42件・4社です。2,079件のうち47.3%は1社の求人です。7.5%は求人に書かれた割合(記載率)で、配偶者出産休暇の制度がある会社の割合ではありません。
配偶者出産休暇は会社が決める休暇(法律は努力義務)
配偶者出産休暇は、配偶者の出産に伴って取得できる休暇で、会社が就業規則などで設けます。育児・介護休業法第24条第1項は、小学校就学前の子を養育する労働者について、育児に関する目的で利用できる休暇を与える措置を講ずるよう努めなければならないと定めています。これは努力義務で、第24条に日数の定めはありません。
厚生労働省の育児・介護休業法のあらましは、この休暇の例として「いわゆる配偶者出産休暇」と子の行事参加のための休暇を挙げ、「各企業の実情に応じた整備が望まれます」と書いています。
日数を書いた求人は1,093件・8社、有給と書いたのは4社
日数まで書いた1,093件・8社の求人は1社の求人が半数以上を占めるため、日数の中央値は示さず、件数だけを示します。
有給と書いた求人は42件・4社、無給と書いた求人は0件で、残る2,037件は有給か無給かを書いていません。
【日系・外資系】男性育休を書いた求人は3.6%、日系は4.2%
男性育休の記載を確認できた求人は3.6%(1,000件・56社)です。日系企業の求人では4.2%(984件・51社)です。外資系企業の求人4,409件では0.4%(16件・5社)で、16件のうち37.5%はジボダン ジャパン株式会社の求人です。日系企業と外資系企業の分け方は外資系企業の定義と社数にあります。
0.4%は求人に書かれた割合で、外資系企業の制度の有無を示す数字ではありません。子育て中の男性の転職で求人を読むと、男性育休の一文があるのは日系企業の求人が中心です。産休・育休の取得実績全体の記載率は産休・育休の取得実績を書いた求人にあります。
産後パパ育休と書いた求人は0.7%(7社)
産後パパ育休と書いた求人は0.7%(185件・7社)で、185件のうち42.2%は清水建設株式会社の求人です。外資系の求人では0件でした。
産後パパ育休は、子の出生後8週間以内に4週間(28日)を限度として、2回に分けて取得できる休業です(育児・介護休業法第9条の2)。求人に書かれていなくても、この休業は法律が定めています。
男性の育休取得率を書いた求人は1.9%(20社)
男性の育休取得率を書いた求人は1.9%(542件・20社)です。書かれた値は各社が自社について選んで載せた数字です。男女合計の取得率だけを書いた求人は別に64件・4社あり、この20社には含めていません。
パナソニック コネクト株式会社の求人は、2024年度の男性の育休取得率を101%、取得日数を「平均取得日数47.8日」と書いています。取得率は計算方法の関係で100%を超えることがあり、その説明は男性育休取得率の計算方法にあります。キヤノン株式会社の求人は2024年の男性の取得率を64.6%、取得期間を「平均取得期間は76日」と書いています。アビームシステムズ株式会社の求人は2025年度に81%、遠州鉄道株式会社の求人は2025年度に100%です。
20社の値を1つにまとめた数字は出していません。年度も対象も各社で異なるためです。各社が厚生労働省のデータベースに公表した取得率は、企業が公表した男性の育休取得率にまとめています。
国の調査で男性の育休取得率は50.9%、期間は1〜3か月未満が最多
厚生労働省の令和7年度雇用均等基本調査(2026年7月31日公表)によると、男性の育児休業取得者の割合は50.9%で、前回調査(令和6年度)の40.5%から10.4ポイント上昇しました。50.9%は、令和5年10月1日から令和6年9月30日までの1年間に配偶者が出産した男性のうち、令和7年10月1日までに育児休業(産後パパ育休を含む)を開始した人(申出をしている人を含む)の割合です。常用労働者5人以上の6,300事業所を対象にした調査で、3,291事業所から有効回答を得ています。
同じ調査の結果概要(表12)によると、令和6年4月1日から令和7年3月31日までの1年間に育児休業(産後パパ育休を含む)を終了して復職した男性の取得期間は、「1か月~3か月未満」が30.3%と最も高く、次いで「2週間~1か月未満」が28.0%、「5日~2週間未満」が14.1%でした。
求人の記載率と国の取得率は、測っているものが異なります。
転職直後の産後パパ育休は、労使協定があれば対象外にできる
育児・介護休業法第9条の3第1項は、「事業主は、労働者からの出生時育児休業申出があったときは、当該出生時育児休業申出を拒むことができない」と定めています。同条第2項は第6条第1項ただし書を準用し、労使協定で産後パパ育休をすることができない労働者として定められた労働者からの申出については、この限りでないとしています。その一号が「当該事業主に引き続き雇用された期間が一年に満たない労働者」です。
労使協定で定めていれば、転職先は入社1年未満の社員の産後パパ育休を対象外にできます。定めていなければ、入社1年未満でも申出を拒むことはできません。労使協定を結んでいるかどうかは会社ごとに異なります。
ここでの労使協定は、事業所の労働者の過半数で組織する労働組合(ないときは労働者の過半数を代表する者)と事業主が結ぶ書面による協定です。休業開始予定日が申出の翌日から2週間を経過する日より前の場合、会社は開始日をその間のいずれかの日に指定できます(第9条の3第3項)。
1歳までの育児休業に同じ定めがあること、育児休業給付金に休業開始前2年間に12か月という要件があることは、入社1年未満の育休と労使協定にあります。子育て中の転職のタイミングで変わるのは、この1年を転職先で数え始める日です。
対象外にできるのは入社1年未満・8週間以内の雇用終了・週2日以下
労使協定で産後パパ育休の対象外にできるのは、次の労働者です(第9条の3第2項、第6条第1項、育児・介護休業法施行規則第21条の3)。
- その事業主に引き続き雇用された期間が1年未満の労働者
- 出生時育児休業申出があった日から8週間以内に雇用関係が終了することが明らかな労働者
- 1週間の所定労働日数が著しく少ない労働者(厚生労働省の申告書の様式では「1週間の所定労働日数が2日以下の場合」)
1歳までの育児休業では、2つ目が申出の日から1年以内に雇用関係が終了することが明らかな労働者で(施行規則第8条第1号)、産後パパ育休とは期間が異なります。
配偶者の出産を申し出ると、会社は育休制度を個別に知らせる
労働者が会社に「当該労働者又はその配偶者が妊娠し、又は出産したこと」を申し出たときは、会社はその労働者に育児休業に関する制度などを知らせ、育児休業の申出についての意向を確認するための面談などの措置をとらなければなりません(育児・介護休業法第21条第1項)。配偶者の出産を申し出た男性社員も対象です。
会社は、この申出をしたことや確認された意向の内容を理由として、その労働者に解雇その他不利益な取扱いをしてはなりません(第21条第6項)。転職先で入社直後に配偶者の出産を申し出た場合も、この条文の対象です。
子が小さいうちの休暇は?子の看護休暇を書いた求人は6.7%
子の看護休暇(子の看護等休暇)を書いた求人は6.7%(1,859件・106社)で、有給と書いた求人は134件・9社、無給と書いた求人は26件・3社です。託児・保育支援を書いた求人は5.8%(1,624件・70社)でした。どちらも求人に書かれた割合で、制度の有無を示す数字ではありません。
時短勤務(所定労働時間の短縮措置)の法律上の義務は子が3歳になるまでで、求人に書かれた期限は時短勤務の法律上の期間にあります。
在宅勤務の記載がある求人とない求人の割合はリモートワークの記載がない求人に、フレックスタイム制の定義と求人での書かれ方はフレックスタイム制とはにあります。
フルリモートと記載された求人の一覧は次のとおりです。各社の採用ページから毎日取得しており、配偶者出産休暇や育休の記載がない求人も含みます。応募は各社のサイトで行います。
掲載中の求人
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株式会社エナーバンク · 東京都
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共働き世帯は1,333万世帯、夫の転職で変わる給付金と転勤
労働政策研究・研修機構の図12「専業主婦世帯と共働き世帯」(2026年3月3日更新)によると、2025年の共働き世帯(夫婦ともに非農林業雇用者の世帯)は1,333万世帯、専業主婦世帯は476万世帯です(資料出所は総務省「労働力調査(詳細集計)」)。
厚生労働省の育児休業等給付についてによると、育児休業等給付には出生時育児休業給付金、育児休業給付金、出生後休業支援給付金、育児時短就業給付金の4つがあります。収入については、求人の年収の読み方が転職で年収が下がる理由に、給付率と上限額が育休中の手取りにあります。
妻の出生後休業支援給付金は夫の14日以上の育休が原則
出生後休業支援給付金は、厚生労働省の簡易診断ページによると、「子どもの出生直後の一定期間内に、原則、両親がともに14日以上の育児休業を取得する場合に、最大28日間、休業開始前の給与の13%を支給する制度」です。厚生労働省のパンフレット「育児休業等給付の内容と支給申請手続」によると、2025年4月1日に創設された給付金です。夫婦それぞれの給付額と、配偶者の育児休業を要件としない場合の一覧は出生後休業支援給付金の夫婦の要件にあります。
厚生労働省のパンフレット「育児休業等給付の内容と支給申請手続」(令和8年8月1日改訂版、p.2・p.14)によると、父親が申請する場合、配偶者(母)が子の出生日の翌日に産後休業中であれば配偶者側の要件はそれで足り、父親本人が対象期間に通算14日以上の休業を取得すれば支給対象になります。
母親が申請する場合に、転職先の労使協定で父親が産後パパ育休の申出を拒まれたときの扱いは、同じパンフレットのp.21にあります。「配偶者が給付金の対象となる育児休業をすることができないことの申告書」は、理由の③に「労使協定に基づき事業主から育児休業の申出又は出生時育児休業の申出を拒まれたため」を挙げ、その(ア)として、子の出生の翌日時点で勤務先に継続して雇用された期間が1年未満の場合を含めています。p.13は、この申告書の理由のいずれかにあてはまる場合を「配偶者の育児休業を要件としない場合」の7番目に挙げています。
育児時短就業給付金は転職先でも再開できる(子が2歳未満)
厚生労働省の「転職先の事業所で育児時短就業給付金の支給を再開する場合の留意点」によると、2025年4月以降に新たに雇用保険の被保険者となった人が以前に育児時短就業給付金の受給手続きをしていた場合、転職先の資格取得届に対してハローワークが交付する「雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(事業主通知用)」に「育児休業等給付受給可」と表示されます。表示された人が支給対象になるのは、次の2つの両方にあてはまる場合です。
- 2歳未満の子を養育するために、育児時短就業する雇用保険の被保険者であること。転職先の入社当初から、1週間当たりの所定労働時間が前の職場より短い場合も含みます。
- 転職前後の被保険者期間に空白期間がある場合、その間に基本手当等の受給資格決定を受けていないこと。
支給申請は転職先の事業主が行い、本人が希望すれば自ら申請することもできます。当初の時短就業を始める前と比べて賃金が下がっていない場合などは、不支給になることがあります。2歳未満という要件は「育児時短就業給付の内容と支給申請手続」(令和8年8月1日時点版)にあり、給付額の計算は時短勤務中の給与と給付金にあります。
転勤には子育てへの配慮義務がある(育児・介護休業法第26条)
育児・介護休業法第26条(2026年10月時点の条文)は、次のとおり定めています。
事業主は、その雇用する労働者の配置の変更で就業の場所の変更を伴うものをしようとする場合において、その就業の場所の変更により就業しつつその子の養育又は家族の介護を行うことが困難となることとなる労働者がいるときは、当該労働者の子の養育又は家族の介護の状況に配慮しなければならない。
定めているのは、転勤を命じる会社側の配慮義務です。子育て中の労働者が転勤を断る権利までは定めていません。共働きの夫が転勤を命じられた場合の扱いは、この配慮義務と、転職先の就業規則にある転勤の定めの両方によります。
パパの転職で求人を見るときに確認する4つの記載
- 配偶者出産休暇:日数と、有給か無給か
- 男性育休・産後パパ育休:取得率が書かれていれば、その年度と、男性のみか男女合計か
- 子の看護休暇と託児・保育支援
- 勤務地と転勤の有無
求人に書かれているのは、企業が自社について書くことを選んだ内容です。
AirTAの各求人ページには、企業が採用ページに書いた募集要項の本文をそのまま掲載しています。配偶者出産休暇の日数や有給かどうか、産後パパ育休、男性の取得実績が書かれていれば、その本文で確認できます。休暇や育休の記載で求人を絞り込む機能はありません。公開中の求人の閲覧は無料で、応募は各社のサイトで行います。
求人に取得率の記載がない会社については、各社が厚生労働省のデータベースに公表した男性育休の取得率が別にあります。データベースの値は、求人に書かれた数字とは出典が異なります。
転職理由や志望動機を子育てに関連づけて話す場合の面接での受け答えは、別にまとめています。
パパの転職で転職先の休暇と給付金を決めるのは、求人の記載の有無よりも、法律と、転職先の就業規則と労使協定です。