転職の面接で聞かれる質問は、応募した中途採用の求人票の「求める人物像」から想定できます。日本の1,129社が公開する求人32,417件のうち、応募資格・求める人物像の欄を読み取れた22,065件では、47.3%に人物面の資質の記載がありました(2026年10月8日時点)。多いのは主体性・自走力の17.7%、巻き込み力・協調性の15.6%、コミュニケーション力の13.7%です。準備は、応募先の求人票のこの欄を読むことから始めます。
数字は各社の採用ページの求人票の記載を数えたもので、面接で聞かれた質問の集計ではありません。
転職の面接で聞かれる質問は経験・人物像・動機・条件
中途採用の面接の質問は、経験、人物像、転職理由・志望動機、条件の4種類に分かれ、応募先の求人票の欄から準備できます。
4種類のうち人物像の質問は、求める人物像の欄に書かれる資質によって求人ごとに変わります。
求める人物像に多い資質は主体性と巻き込み力
応募資格・求める人物像の欄を読み取れた22,065件では、主体性・自走力と巻き込み力・協調性の2つが、どちらも記載の割合で15%を超えます。
出典:AirTA。公開中の求人32,417件(1,129社、2026年10月8日時点)のうち、応募資格・求める人物像の欄を読み取れた22,065件に占める記載がある求人の割合。
各資質で最も多い書き方は、「コミュニケーション能力」(20社)、「チームワークを大切にできる方」(14社)、「論理的思考力」(11社)、「自ら考え、主体的に行動できる方」(6社)です。答えの中で資質を名指しするときは、応募先の求人票にある語をそのまま使います。
一緒に書かれることが多い資質
巻き込み力・協調性の記載がある求人のうち36.7%(1,263件・362社)には、主体性・自走力の記載もあります。チャレンジ精神・粘り強さの記載がある求人では、41%(576件・186社)に主体性・自走力の記載があります。
自分で課題を引き受け、部署の違う人を動かして進めた経験が1つあれば、2つの資質の質問に同じ経験で答えられます。
準備する経験の数は、資質の数より少なくて済みます。
外資系と日系で多い資質の違い
応募資格・求める人物像の欄を読み取れた外資系の求人2,736件と日系の求人18,798件で比べると、コミュニケーション力の記載は外資系23.8%、日系12.2%です。柔軟性・変化への対応力と論理的思考・課題解決力も、外資系の割合が日系の約2倍から2.7倍です。
外資系の2,736件は、外資系の求人全体の36.8%です。英語の見出しで書かれた求人票は、この欄を読み取れないことが多いためです。外資系の区分は外資系企業の定義と社数と同じです。
外資系に応募するなら、コミュニケーション力と論理的思考・課題解決力の質問に答える経験を用意しておきます。面接の回数などの進め方は、求人票に書かれている選考の流れで確認できます。
コンピテンシー面接(STAR)は自分の役割と数字で答える
コンピテンシー面接は過去の行動を聞く面接手法で、行動面接とも呼ばれます。答えは、状況(Situation)、課題(Task)、行動(Action)、結果(Result)の順で話すSTARの型にまとめます。
「その場合は○○すると思います」という仮定の答えには、過去の行動が含まれません。質問が経験を聞いているときは、実際にあった1つの経験で答えます。
管理職やチームを率いてきた応募者ほど、成果の多くはチームの成果です。「我々は売上を伸ばしました」という答えでは、そのうち自分が何をしたのかがわかりません。このためSTARの型は、経験の浅い応募者より使いにくくなります。
自分の役割と数字がない答えは、自分の成果として伝わりません。
準備するのは3〜5つの経験です。それぞれに自分の役割と数字を1つ付け、求人票のどの資質と業務に答えられるかを決めておきます。
役割の分け方は、職務経歴書の補佐・担当・統括の書き分けと同じです。補佐した業務の成果として売上の伸びを話すと、チームの成果を自分の成果として話すことになります。
社外に出せない数字は、規模と比率で話します。売上額の代わりに、担当した顧客の数、○人のチーム、前年比○%を使います。確かな数字がない場合は、規模だけを話します。
強みを聞く質問には求める人物像にある資質を挙げる
「あなたの強みは何ですか」には、応募先の求める人物像に書かれた資質のうち、経験で裏付けられるものを1つ選んで答えます。
想定される深掘り:「その強みが通用しなかった経験はありますか」
自己PRを求められた場合も同じ経験を使い、最後を応募先の業務内容のどこで使えるかで結びます。
主体性・自走力から想定される質問
想定される質問(求人票の「自ら考え、主体的に行動できる方」から):「指示を受ける前に、自分で課題を見つけて動いた経験を教えてください」
想定される深掘り:「その中で、あなたが決めたことは何ですか」
巻き込み力・協調性から想定される質問
想定される質問(求人票の「チームワークを大切にできる方」から):「立場や部署の異なる人と協力して、仕事を進めた経験を教えてください」
想定される深掘り:「意見が分かれたとき、相手に譲ったことと、譲らなかったことは何ですか」
課題の段で、その問題を自分が引き受けると決めたことも話せば、同じ経験で主体性・自走力の質問にも答えられます。
コミュニケーション力から想定される質問
想定される質問(求人票の「コミュニケーション能力」から):「考え方や立場の違う相手に説明して、合意を得た経験を教えてください」
想定される深掘り:「相手が納得しなかった点は何で、そこにどう対応しましたか」
そのほかの資質と弱みの質問
そのほかの5つの資質からは、次の質問が想定されます。答え方は上の3つと同じ4段の型です。
弱みの質問には、実際の弱みと、それに対して続けている取り組みを答えます。
弱みに、応募先の求める人物像に書かれた資質の反対を挙げると、その記載と答えが食い違います。主体性・自走力の記載がある求人で、「指示がないと動きにくい」を挙げる場合です。
自己紹介と職務経歴の準備に使うのは求人票の業務内容
自己紹介と職務経歴の質問は、求人票の業務内容の欄から準備します。応募資格・求める人物像の欄を読み取れた22,065件のうち52.7%は資質の記載がない求人で、その場合も業務内容の欄は準備に使えます。
自己紹介の順番は職務要約と同じ
自己紹介は、職務経歴書の職務要約と同じ順で話します。現在の役職と業務、応募先の業務内容と重なる業務、数字を1つです。
「現在、○○株式会社の○○部で、○○を担当しています。これまで○年間、○○と○○に携わり、○○では○○を○%改善しました。」
職歴を古い順にすべて話すと、職務経歴の質問への答えと内容が重なります。
職務経歴の質問は求人票の業務内容に合わせる
「これまでの職務経歴を教えてください」には、求人票の業務内容にある業務から先に話します。業務ごとに、補佐・担当・統括のどれだったかと、数字を1つ添えます。
マネジメント経験を聞く質問には統括の業務で答え、チームの人数と予算の規模を入れます。
職種ごとに求人が記載する業務は、経験年数別に求人が記載する営業の業務や経験年数別に求人が記載する法務の業務で確かめられます。書類に書く行の形は、職種ごとの職務経歴書の文例で見られます。
面接で話す行動と数字は、職務経歴書の業務欄に書く行動と数字と同じです。職務経歴書ビルダーでは、選んだ業務ごとに補佐・担当・統括のどれに当たるかを選び、担当と統括の業務には実績(指標と前年比)を加えられます。
作成とプレビューはアカウントなしで利用できます。PDFのダウンロードには無料のAirTAアカウントが必要です。
ビルダーに入力した内容から、職務経歴書と英文レジュメの両方ができます。
転職理由・志望動機・キャリアプランは応募先の仕事につなげる
転職理由、志望動機、キャリアプランの3つは、どれも応募先の業務内容に結びつけて答えます。3つの答えが同じ業務を指していれば、話の筋が通ります。
転職理由は事実と次の仕事で実現したいことで話す
転職理由は、現職で起きている事実と、次の仕事で実現したいことの2つで話します。応募先の業務内容にあって現職にない仕事を挙げると、転職理由がそのまま志望動機につながります。
現職への不満は、確かめられる事実に言い換えます。「評価に不満がある」は「担当範囲が○年変わっていない」のように話します。退職理由を聞かれた場合も同じです。
志望動機は応募先の業務内容と自分の経験を結ぶ
志望動機は、求人票の業務内容のうち担いたい業務と、求める人物像のうち自分が持つ資質を結んで話します。
「御社の○○(業務内容にある業務)を、私の○○の経験を使って担いたいと考えています。」
事業や製品に触れる場合は、その業務が事業のどの部分に当たるかまで話します。成長性や社風だけを挙げると、どの会社にも言える理由になります。
キャリアプランは応募した職務の先に置く
キャリアプランは、応募した職務を担うことを出発点にして話します。入社後○年で、応募職務の○○を担当から統括に広げる、のように業務内容の先にある段階で示します。
応募した職務と関係の薄い将来像は、志望動機と別の業務を指すことになります。
希望年収や残業の質問は求人票の記載から答える
条件の質問には、求人票に書かれた年収、勤務時間、勤務地を確かめてから答えます。
希望年収を伝える前に求人票の年収レンジを確かめる
現在の年収と、その内訳(基本給、賞与、残業代)を答えられるようにしておきます。
職種ごとの求人票の年収レンジは、下限と上限の中央値で比べられます。レンジの上限を超える額を希望する場合は、その根拠になる経験と数字を添えます。
残業・休日・勤務地は記載の有無を確かめて答える
残業、休日、勤務地の質問には、求人票の記載と自分の条件が合っているかを確かめてから答えます。求人票に書かれる月平均の残業時間は、残業時間の記載のある求人の集計で確かめられます。
入社可能な時期は、現職の退職の申し出から引き継ぎを終えるまでの期間をもとに答えます。
厚生労働省は、本籍・出生地、家族、宗教、支持政党、尊敬する人物、購読新聞・雑誌・愛読書などを、面接で尋ねると就職差別につながるおそれがある事項としています。
求人票に書かれていない条件は、面接の最後の逆質問で確かめます。求人票の各欄で記載がなかった項目を書き出しておけば、逆質問で確かめる内容が決まります。
転職の面接で説明できる範囲は、職務経歴書に書いた段階で決まります。
公開中の求人は、職種・業界ごとに求人票の内容を確認できます。