履歴書の産休・育休の書き方は、厚生労働省の履歴書様式例にも、ハローワークの「応募書類の作り方」と「職務経歴書の作り方」にも載っていません。産休・育休は、同じ会社に在籍したままの休業です。履歴書では入社の行を残したまま休業の年月を1行加え、職務経歴書では在籍期間を切らずに休業の期間を書き添えます。年月と退職理由は、2つの書類で同じ表記にそろえます。
職歴欄の基本は入社と退職、産休・育休は書き足す行
職歴欄の基本は、勤務先への入社と退職の経歴を古い順に書くことです。産休・育休は入社と退職の間にある休業なので、入社の行の下に、休業を始めた年月と「(○年○月まで)」を1行書き足します。
履歴書の書き方を定めた法律はありません。厚生労働省の履歴書様式例は、「履歴書の様式例の作成について」(労働政策審議会資料、2021年4月)で「法的拘束力はない」とされていて、様式の学歴・職歴欄にある指示は「学歴・職歴(各別にまとめて書く)」という見出しだけです。
「応募書類の作り方」(5ページ)は、「職歴は、勤務先への入社及び退社(注)の経歴を古い順に記載することが基本」としたうえで、異動・昇格・出向や雇用形態を「記載する方法もあります」と書いています。注は、「退職」を用いても差し支えないとしています。ページ番号は、冊子に印刷された番号です。
履歴書に休業の行を書かない場合も、その月は職務経歴書の在籍期間の中にあります。「職務経歴書の作り方」(4ページ)が最初に挙げる記載項目は「時期」で、入社から現在までの年月はそこに書きます。
休業の行は、産休・育休と略さずに正式名称で書きます。「応募書類の作り方」(3ページ)が学校名・企業名・資格名について定める「正式な名称・表示で記載します」を、休業の名称にも当てはめた書き方です。
育児休業は、厚生労働省の育児休業制度特設サイトの説明では「原則1歳未満のこどもを養育するために一定期間会社を休める制度」で、対象は「男女の労働者」です。
履歴書には休業ごとに開始月と「(○年○月まで)」を書く
次の4つの記入例は、すべて2016年4月に株式会社○○に入社して営業部に配属された人のもので、提出日を2026年11月1日、年号を西暦で統一しています。「営業部に配属」の行は、「応募書類の作り方」の記載例(11ページ)にならって年・月を空けています。
育休中は最後の行を「現在に至る」にする
育児休業中に提出する履歴書は、育児休業の行に終了月を書かず、最後の行を「現在に至る」にします。「応募書類の作り方」(8ページ)は、在職中の場合は職歴の最後の行に「現在に至る」と書くとしています。
括弧の中の「育児休業中」は、同じページにある「現在に至る(令和○年○月末退職予定)」の形にならって、この記入例で入れた語です。退職日が決まっている場合は、この形の括弧に退職予定の年月を入れます。育休中に退職した場合の給付金の扱いは、育休中に退職した場合の育児休業給付金にあります。
本人希望記入欄には、応募職種と出社できる日を書きます。「応募書類の作り方」(6ページ)の例「なお、採用いただけたならば○月○日以降いつでも出社可能です」にならっています。
営業職を希望します。現在、育児休業中です。採用いただけた場合は、2027年1月4日以降に出社可能です。
復職したら「営業部に復職」の行を加える
復職した人は、休業の行の次に復職した年月と「営業部に復職」の行を書き、最後を「現在に至る」で終えます。この記入例は育児休業だけなので、育児休業を取得したどの親にも同じ形で使えます。
出生時育児休業も、同じ形で書きます。
復職の行には会社名を書きません。「応募書類の作り方」(3ページ)は、「同上」「同社」のような「同〜」という記載をしないとしていて、記載例(11ページ)でも社内の異動や昇格の行に会社名はありません。会社名を書くのは、入社の行と退職の行だけです。
2回取得した場合は休業ごとに行を分ける
2回取得した場合は、産前産後休業と育児休業をそれぞれ別の行にします。何人目の子かは書きません。
産後休業の終了と育児休業の開始が同じ月に入る場合は、その月を両方の行に書きます。この記入例では、2019年9月と2023年1月がその月です。各行の年月は上から下へ進み、復職の月は休業の終了月の翌月です。
出産のため退職した場合は理由をその言葉で書く
出産を機に退職した人は、退職の行に「出産のため退職」と書きます。「応募書類の作り方」(6ページ)が退職理由の例として挙げる表現の1つで、同じページは理由を簡潔に書くとしています。
退職の前に育児休業を取得していた場合は、その行を退職の行の前に、復職の記入例と同じ形で書きます。退職した後の月について、「応募書類の作り方」に書き方の例はありません。職歴欄は、退職の行と「以上」で終えます。
職務経歴書は在籍期間を切らずに休業の行を入れる
職務経歴書は自由様式で、「職務経歴書の作り方」(3ページ)が必須とするのは「標題」「氏名」「日付」「職務経歴」の4つです。時期は「平成○年○月〜平成○年○月(○年○ヶ月)」のように書き(7ページ)、年号は和暦か西暦に統一します。会社ごとに1つの在籍期間を書き、その下に所属と休業の行を時期の順に並べます。
職務経歴書
2026年11月1日現在
【職務経歴】
2016年4月〜現在 / 株式会社○○ / 営業担当
事業内容:○○の製造・販売(従業員○○人)
2016年4月〜2023年3月 営業部
2023年4月〜2023年9月 育児休業
2023年10月〜現在 営業部
【業務内容】
・法人顧客向けの○○製品の営業を担当
事業内容と従業員数は「職務経歴書の作り方」(4ページ)の記載項目④、業務内容の行は体言止め(3ページ)です。
復職後は休業の前後に所属の行を書く
上の記入例の年月は、履歴書の復職の記入例と同じです。2回取得した人は、時期の行が7行になります。
2016年4月〜現在 / 株式会社○○ / 営業担当
2016年4月〜2019年5月 営業部
2019年6月〜2019年9月 産前産後休業
2019年9月〜2020年7月 育児休業
2020年8月〜2022年9月 営業部
2022年10月〜2023年1月 産前産後休業
2023年1月〜2023年11月 育児休業
2023年12月〜現在 営業部
ハローワーク『応募書類の作り方』『職務経歴書の作り方』の記載方法(年号の統一、「同社」を使わない、「現在に至る」「以上」)に沿った記入例。年月は例です。
育休中は休業の行を「〜現在」で終える
育児休業中に提出する職務経歴書は、最後の時期の行を「〜現在 育児休業」で終えます。出社できる日を書く場合は、履歴書の本人希望記入欄と同じ2027年1月4日にします。
2016年4月〜現在 / 株式会社○○ / 営業担当
2016年4月〜2025年10月 営業部
2025年11月〜2026年2月 産前産後休業
2026年2月〜現在 育児休業
出産のため退職した人の在籍期間は「2016年4月〜2022年3月 / 株式会社○○ / 営業担当」とし、「退職理由:出産のため退職」の1行を加えます。「職務経歴書の作り方」(7ページ)は、退職理由を簡単に記載するとしています。
英文履歴書作成ツールでは、会社ごとに開始と終了(在籍中)を1つずつ入力し、求人で企業が記載している業務の名称から担当業務を選びます。英文レジュメ側で書く項目と書かない項目は、職務経歴書と英文レジュメの違いにあります。
英文履歴書作成ツールに、休業の行を入れる欄はありません。休業の年月は、「テキストをコピー」で写した職務経歴書の会社の欄に書き加えます。職務要約の「約○年間」は、開始から終了(在籍中は現在)までの在籍期間で計算されます。作成とプレビューはアカウントなしで利用でき、PDFのダウンロードには無料のAirTAアカウントが必要です。
休業の行を加えた後、年月と表記が履歴書の職歴欄と同じかを確認します。
家庭の事情はどこまで書く?(本人希望記入欄の1行)
休業の年月は職歴の事実で、職歴欄に書く対象です。家庭の状況は、厚生労働省が事業主に対して把握しないよう求めている事項です。
厚生労働省の「公正な採用選考の基本」は、適性と能力に関係がない事項を応募用紙等に記載させたり面接で尋ねたりすることは就職差別につながるおそれがあるとして、「家族に関すること(職業、続柄、健康、病歴、地位、学歴、収入、資産など)」と「生活環境・家庭環境などに関すること」を挙げています。このページは事業主に向けて書かれたもので、応募者が自分で書く内容を定めるものではありません。
履歴書様式例の側でも、配偶者、扶養家族数、配偶者の扶養義務、通勤時間の4つは、事業主向けのリーフレットが「応募者のプライバシーの要素が非常に高い情報」として設けないこととした欄です。
本人希望記入欄の見出しは「特に給料・職種・勤務時間・勤務地・その他についての希望などがあれば記入」で、勤務時間を挙げています。「応募書類の作り方」(6ページ)は、勤務条件について具体的な希望があっても「ストレートには記載せず、面接などの場で採用担当者と相談するのが一般的」とし、空欄にすることは適当ではないとしています。
この欄に勤務時間の希望を書く場合は、理由を添えずに希望だけを書きます。
営業職を希望します。勤務時間は、短時間勤務を希望します。
短時間勤務を請求できる期間の法律上の定めは、時短勤務の法律上の期間にあります。
履歴書と職務経歴書の年月・退職理由をそろえる
提出前に、2つの書類を並べて次の8項目を確認します。
- 年号を和暦か西暦に統一する。履歴書(「応募書類の作り方」3ページ・5ページ)と職務経歴書(「職務経歴書の作り方」3ページ・7ページ)で同じ年号を使う
- 「〃」「同上」「同社」を使わない(「応募書類の作り方」3ページ)
- 会社名は正式名称で書く。「(株)○○」は「株式会社○○」(3ページ)。休業名も産休・育休と略さず書く
- 職歴欄は入社と退職を古い順に書く(5ページ)
- 在職中は最後の行を「現在に至る」にし(8ページ)、職歴の最後に「以上」と書く(6ページ)
- 退職理由は簡潔に書く。「一身上の都合により退職」「出産のため退職」「会社都合により退職」(6ページ、「職務経歴書の作り方」7ページ)
- 提出日を両方の書類で同じ日付にする(「職務経歴書の作り方」7ページ)
- 休業の開始月・終了月・復職月を、行ごとに2つの書類で同じにする(この記入例の確認項目)
勤務先が会社でない場合(学校・病院・個人事業所・各種団体・官公庁など)は、「入社」「退職」の代わりに「勤務(又は入職)」「退職」を用います(「応募書類の作り方」8ページ)。
面接では、書類に書いた年月と退職理由をそのまま答えます。質問ごとの答え方は、面接での受け答えにあります。
よくある質問(経験年数・休職・入社1年目の産休)
育休は経験年数に含まれますか?
採用時の経験年数の数え方を定めた国の文書は、確認した範囲にはありません。労働基準法第39条第10項は、年次有給休暇の出勤率の計算に限って、育児休業をした期間と、産前産後の女性が第65条の規定によって休業した期間を出勤したものとみなします。
職務経歴書では、時期の行ごとに「(○年○ヶ月)」を付けて期間を示せます(「職務経歴書の作り方」7ページ)。
育休の期間は「休職」と書きますか?
育児休業の期間は「育児休業」と書きます。厚生労働省のモデル就業規則(令和7年12月版、16ページ)は、「休職の定義、休職期間の制限、復職等については、労基法に定めはありません」としています。育児休業は、育児休業制度特設サイトによると、就業規則に育児休業の規定がなくても法律に基づいて取得できる休業です。
入社1年目でも産休・育休は取れますか?
産前産後休業を定める労働基準法第65条の第1項と第2項に、勤続期間の条件はありません。育児休業については、入社1年未満の労働者を労使協定で対象外にできる定めがあり、その仕組みは入社1年未満の育休と労使協定にあります。
履歴書の産休・育休の書き方は様式例にも2つの冊子にも載っていないため、休業の行もハローワークの記載方法(年号の統一、「現在に至る」と「以上」)に沿って書き、年月を2つの書類で一致させます。