今日届いた4通目の履歴書、どこかで見覚えがありませんか。
同じエンジニア、同じ現職、同じLinkedInの写真。違うのは、表紙のエージェンシーロゴだけ。
候補者の幅を広げようと4社に依頼したのに、届いたのは同じリストのコピーが4部。しかも1件ごとに初年度年収の30〜40%のフィーが発生する可能性があります。
実はこの重複、偶然ではなく構造的な問題なんです。
全員が同じ池で釣りをしている
日本には3万か所以上の有料職業紹介事業所があります。一方で、各社が追いかける候補者ははるかに希少です。ビジネスレベルの英語力を持つ日本人はわずか6%。専門分野ではさらに狭まり、MLA Globalの調査によると、真のビジネス英語力を持つ日本人弁護士は5%にとどまります。
3万か所のどこにも、独自の「隠れた候補者プール」はありません。各社が契約しているのは同じデータベースです。BizReach、LinkedIn、リクルートダイレクトスカウト。入力する検索条件もほぼ同じ。その検索結果に表示される人材が、市場のすべてなんです。
そこに、あなたの採用要件を重ねてみてください。業界、職種、勤務地は東京、日英バイリンガル。対象は100人ほどにまで絞られます。
たとえば東京でバイリンガルの営業責任者を採用するケース。成功報酬型の4社がサーチを実行すると、4社の画面に同じ100件のプロフィールが表示されます。各社が自信のある5人を推薦。届くのは20件の提出、重複率は60%。つまり8人の実質候補者が、12件の重複に埋もれている状態です。
どのエージェンシーが誰を先に紹介したのかを整理している間に、8人の中の最有力候補は他社で内定を受けています。
なぜエージェンシーは「探す」より「競走」するのか
成功報酬型で報酬を得られるのは、候補者を決めた1社だけ。2番手の売上はゼロです。
1つのポジションに4社を並べれば、3社はタダ働き。案件のキャンセルや社内充足まで含めると、リクルーターが成功報酬型案件で成約できる確率は約20%まで下がります。
この確率で戦うなら、勝負はスピードしかありません。40時間かけて市場を丁寧にマッピングするリクルーターは、誰でも見つけられる候補者を4時間で送信するリクルーターに負けるんです。
この計算は、エージェンシーがあなたの案件を後回しにする理由でもあります。そして成功報酬型の悪循環にもつながります。確率が下がるほど、リクルーターはより多くの案件をより速く回そうとし、質が下がり、確率はさらに下がっていくわけです。
依頼するエージェンシーを1社増やすたびに、各社のインセンティブは薄くなります。それでも、候補者プールの大きさは1人も変わりません。
重複が生む3つのコスト
候補者体験の悪化。ターゲット候補者は、1週間のうちに3人の別々のリクルーターから同じポジションの打診を受けます。しかも、各社の説明は微妙に食い違う。優秀な候補者の目には「自社の採用すら整理できていない会社」と映ります。
フィーの紛争。2社が「うちが先に紹介した」と主張。あなたが権利関係を仲裁している間、候補者は面接日程を待たされ続けます。
管理コスト。チームの誰かが、どの提出が先に届いたかをATSと突き合わせて確認する作業に、何時間も費やします。
実際の数字を入れてみると、状況がよくわかります。依頼するエージェンシー数と、実際の候補者プールの規模を入力してみてください。パイプラインの何割が「コピー」なのかが見えてきます。
エージェンシーを増やして手に入るのは、候補者ではなくコピーなんです。
1社にサーチのすべてを任せる
人材が希少なら、もっと広く網を張りたくなりますよね。でも変えるべきは網の広さではなく、リクルーターが「何に対して報酬を受け取るか」です。
リテイナー型や独占契約では、エージェンシーの成約率は約80%。成功報酬型では20%です。
フィーが自分のものだとわかっているリクルーターは、40時間版のサーチに投資できます。InMailに返信しないパッシブ候補者へのアプローチ。ピッチの前にあなたのチームを理解する時間。スピードではなく、フィットで選ぶスクリーニング。「最初に送ること」の価値が消え、「最適な人を見つけること」が勝ち筋になります。
次の重要ポジションで試してみてください。1社に絞り、独占契約で、明確な期限を設定する。フィーも動きます。成約確率が20%からほぼ確実に変われば、割引に応じるエージェンシーは少なくありません。
コミュニケーションの改善では、重複はなくなりません。エージェンシーを入れ替えても同じです。契約が成功報酬型のままなら、重複は必ず戻ってきます。
条件を変えれば、行動が変わります。
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