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年俸制とは?月給制との違いと残業代(2026年)

各社の採用ページに掲載された日本語の求人18,908件(776社)から、年俸制と書かれた622件(64社)を日系・外資系と職種で数え、分割回数と残業代の書き方を集計しました。

Daniel Smith•2026年10月11日•更新日 2026年10月14日•13分

年俸制(ねんぽうせい)とは、業績評価や本人の役割に応じて、1年単位で賃金の額を決める賃金制度です。各社の採用ページに掲載された日本語の求人18,908件(776社)のうち、年俸制と書かれた求人は622件(64社)、3.3%です(2026年10月時点)。このうち311件(41社)、50.0%は、年俸に残業代を含むと書いています。

年俸制と書かれた求人は、募集要項にその仕事の給与の仕組みとして「年俸制」と書かれた求人です。「年俸◯万円」とだけ書かれた求人や、月給制との選択として書かれた求人は数えていません。払い方、賞与、残業代の扱いは、労働基準法と各社の定めで決まり、求人票にはその一部が書かれています。

年俸制とは(1年分の賃金を決めて毎月払う制度)

年俸制で1年分として決めた額は、労働基準法24条2項により、毎月1回以上、一定の期日に分けて支払われます。沖縄労働局は、年俸制にも労働基準法が適用されるとしています。

年俸と年収の違い(年俸は契約で決めた1年分の額)

年俸は、契約で決めた1年分の賃金の額です。年収は、1年間に実際に受け取った賃金の合計です。年俸とは別に払われた残業代や、額があらかじめ確定していない賞与があれば、その年の年収は年俸より大きくなります。

求人票では、年俸制の求人でも、給与の欄が年収の幅で書かれることがあります。年収の幅は求人票の年収レンジで集計しています。

手取りは、受け取る賃金から社会保険料と税を引いた額で、扶養の有無などで変わります。計算の例は年収700万円の手取りにあります。

月給制との違いは賃金の額を決める期間

月給制は月ごとに賃金の額を決める仕組みで、年俸制は1年ごとに決めます。どちらも毎月払われます。日給制は日ごとに額を決める仕組みです。

項目月給制年俸制
賃金の額を決める単位月1年(業績評価や役割に応じて)
支払い毎月1回以上、一定の期日(労働基準法24条2項)同じ(年俸を分けて毎月払う)
賞与会社に定めがある場合(労働基準法89条4号)同じ
残業代労働基準法37条の割増賃金同じ(年俸制でも原則として支払う)
額の改定就業規則の昇給の定めによる(労働基準法89条2号)年単位で決め直す

厚生労働省の平成26年就労条件総合調査では、賃金形態(複数回答)別の採用企業割合は、月給が94.0%、年俸制が9.5%でした(前回の平成22年は13.4%)。これは企業の割合で、調査の対象は常用労働者30人以上の民営企業です。同調査で年俸制を採用する企業の割合を集計したのは、平成26年が最後です。

年俸制と書かれた求人の割合(日系・外資系・職種別)

各社の採用ページに掲載された日本語の求人18,908件(776社)のうち、給与の仕組みとして年俸制と書かれた求人は622件(64社)で、求人の3.3%です(2026年10月時点)。企業で数えると、776社のうち64社(8.2%)が年俸制と書いた求人を出しています。

求人の割合と企業の割合は別の数字で、同じ企業の求人が多いと求人の割合が動きます。

【資本別】日系企業と外資系企業で数えた割合

日系企業537社のうち54社(10.1%)、外資系企業185社のうち9社(4.9%)が、年俸制と書いた求人を出しています(2026年10月時点)。件数では、日系企業が542件、外資系企業が72件です。この集計は日本語で書かれた求人だけを数えた値で、英語で書かれた求人は含みません。

日系企業と外資系企業の分け方は外資系企業の定義と社数にあります。

【職種別】IT・営業・マーケティングの求人で数えた割合

職種で数えると、年俸制と書かれた求人の件数で最も多いのはIT・ソフトウェア職の182件(39社)で、その職種の求人5,169件の3.5%です(2026年10月時点)。

職種年俸制と書かれた求人その職種の求人割合
IT・ソフトウェア職182件・39社5,169件3.5%
営業職108件・29社3,031件3.6%
マーケティング・広報職44件・22社772件5.7%

求人の割合。日本語の求人18,908件(776社)。2026年10月時点。

年俸は分割して毎月払われる(12分割と半期年俸制)

年俸制と書かれた求人622件(64社)のうち、分割回数を書いた求人は286件(22社)です(2026年10月時点)。そのうち12分割は277件(20社)で、5社以上の企業が書いた分け方は12分割だけです。

12分割と、年俸の一部を賞与の時期に払う分け方

厚生労働省の「確かめよう労働条件」は、年俸の代表的な支払方法として二つの例を挙げています。

  1. 年俸額の12分の1を月例給与として支給する。
  2. 年俸額の一部を賞与支給時に支給する。例として、年俸の17分の1を月例給与として支給し、17分の5を二分して6月と12月に賞与として支給する。

中央労働委員会のあっせん事例の解説は、年俸は12分して毎月支払われるのが常であるとし、賞与部分を設ける場合も多いとしています。

半期年俸制(6か月ごとに年俸を決める書き方)

半期年俸制と書かれた求人は32件(7社)です(2026年10月時点)。半期年俸制は、6か月ごとに年俸を決め直す書き方です。

求人票では「半期ごとに人事評価に応じて」「半期年俸額の6分の1相当額を月給として毎月支給」「年に2回給与改定」のように書かれます。

賞与(ボーナス)と退職金は会社の定めで決まる

賞与と退職金(退職手当)は、会社がその定めをする場合に就業規則に記載する事項です(労働基準法89条3号の2・4号)。年俸制の求人に賞与や退職金があるかどうかは、各社の定めで決まります。

厚生労働省の「確かめよう労働条件」は、賞与を「定期又は臨時に、原則として労働者の勤務成績に応じて支給されるものであって、その支給額が予め確定されていないもの」とし、定期的に支給されかつその支給額が確定しているものは、名称の如何にかかわらず賞与とはみなされないとしています(昭和22年9月13日 発基第17号)。

年俸に含めてあらかじめ額が確定している賞与部分は、割増賃金の基礎となる賃金から除くことができる賃金に当たりません。沖縄労働局は、この場合、賞与部分を含めて割増賃金を計算する必要があるとしています(平成12年3月8日 基収第78号)。

年俸制でも残業代は原則として支払われる

労働基準法37条は、時間外労働、休日労働、深夜労働に割増賃金(残業代)を支払うよう定めています。

厚生労働省の「確かめよう労働条件」は、年俸制を導入した場合でも、実際の労働時間が1週または1日の法定労働時間を超えれば、原則として割増賃金を支払わなければならないとしています。例外は労働基準法41条が定める労働者で、沖縄労働局は、みなし労働時間制の適用を受け、年俸がみなし労働時間に応じて設定されている場合も挙げています。

管理監督者かどうかは職務・権限・待遇の実態で決まる

労働基準法41条2号は、事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者について、労働時間、休憩、休日に関する規定を適用しないとしています。厚生労働省のリーフレットは、管理監督者に当たるかどうかを、職務内容、責任と権限、勤務態様、賃金等の待遇の実態で判断するとしています。管理職という役職名だけでは決まりません。

同リーフレットは、管理監督者であっても、深夜業(22時から翌日5時まで)の割増賃金は支払う必要があり、年次有給休暇も一般労働者と同様に与える必要があるとしています。

年俸に残業代を含むと書いた求人(年俸制の求人の半数)

年俸制と書かれた求人622件(64社)のうち、年俸に残業代を含むと書いた求人は311件(41社)で、50.0%です(2026年10月時点)。企業で数えると、年俸制の求人を出す64社のうち41社(64.1%)です。この集計は、固定残業代、みなし残業、時間外手当のいずれかを年俸に含むと書いた求人を数えています。

通達(平成12年3月8日 基収第78号)は、年俸に割増賃金を含める場合について、含まれていることが労働契約の内容として明らかで、割増賃金に当たる部分とそれ以外の部分とに区分でき、割増賃金に当たる部分が法定の額以上であることを示しています(「確かめよう労働条件」)。年間の割増賃金相当額に対応する時間数を超えた時間外労働には、その分の割増賃金の支払いが必要としています。

年俸に含まれる残業代の時間数と金額は求人ごとに異なり、金額の分布は固定残業代の金額で集計しています。

年俸制の注意点(年俸が下がる場合と年の途中の変更)

年俸の額は労働条件です。労働契約法8条は、労働者と使用者がその合意により労働条件を変更できるとしています。9条は、使用者が労働者と合意することなく、就業規則の変更によって労働者の不利益に労働条件を変更することはできないとし、ただし10条の場合はこの限りでないとしています。10条は、就業規則の変更が合理的で、変更後の就業規則が周知されている場合は、労働条件は変更後の就業規則によるとしています。

中央労働委員会のあっせん事例には、業績悪化を理由に年俸を減額した事案があります。その解説は、労働条件の変更は労使の合意に基づくのが原則(労働契約法8条)とし、賃金を従業員の同意なく一方的に不利益に変更することはできないとした裁判例(チェース・マンハッタン銀行事件、東京地裁平成6年9月14日判決)を挙げています。同じ解説は、年俸額を合意で確定した場合には、使用者が当該年度の途中でそれを一方的に引き下げることは許されないとした裁判例(シーエーアイ事件、東京地裁平成12年2月8日判決)も挙げています。

半期年俸制と書かれた求人では、額は6か月ごとに決め直されます。

労働基準法15条は、労働契約の締結に際して、使用者が賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならないとしています。施行規則5条は、賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期、昇給に関する事項を明示する事項とし、昇給を除いて書面の交付によるとしています。年俸の額と支払いの方法も、この明示の対象です。

AirTAの各求人ページには、企業が採用ページに書いた募集要項の本文をそのまま掲載しています。年俸の額、分割回数、年俸に含まれる残業代の時間数と金額は、書かれていればその本文で確認できます。

年俸◯万円の一行だけでは、分割回数、賞与の有無、残業代を含むかどうかは分かりません。年俸制で求人を絞り込む機能はありません。IT・ソフトウェア業界の求人の一覧は次のとおりで、年俸制と書かれていない求人も含みます。応募は各社のサイトで行います。

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