クラウドエンジニアの相場を確かめようとガイドを5冊開くと、5通りの答えが返ってきます。日本の給与ガイドを出しているのは実質、マイケル・ペイジ、ロバート・ウォルターズ、ヘイズ、モーガン・マッキンリー、ロバート・ハーフの5社。そして同じ職種でも、5社の数字は揃いません。
このコンセンサス指数は、その5冊を突き合わせ、職種ごとに1本の中央値へ束ねたものです。対象は181職種。テクノロジー、経理・財務、金融、営業、ライフサイエンス、人事、購買・サプライチェーン、マーケティングまでカバーします。
あわせて、どの給与の横にも業界標準の紹介フィーを円建てで置きました。1人採るのに全部でいくらかかるか、同じ行を左から右へ読むだけで済みます。
公開データに足したのはこのフィー欄だけです。給与の数字は1つ残らず、名前を挙げた各社のガイドまで遡れます。
中央値とカバレッジの読み方
表の中央値は、その職種を載せているガイドのうち、整合性チェックを通ったものだけをプールして出した1本の数字です。
横に添えたガイド数が、裏付けの厚さを表します。5冊が揃った中央値と2冊しかない中央値ではアンカーとしての重みが違うので、この列は全職種で省かずに出しています。
各社の意見は、職位が上がるほど割れます。クラウドエンジニアなら5冊とも1,100万円の近くに集まる。ところがCFO(最高財務責任者)になると、載せている2冊のレンジが1,500万円から7,000万円まで開くんです。実務担当クラスの中央値は堅く、エグゼクティブの中央値は割れた意見の正直な真ん中、という構図になります。
使うときは、どの数字も出発点に置いてください。会社のステージ、候補者の希少性、バイリンガル要件、埋めたい速さ。条件が変われば給与は動き、その上に乗るフィーも比例して動きます。
機能別に給与とフィーを引く
機能を丸ごと値付けしたい場面では、エクスプローラーが速いです。機能を選んでエンゲージメントモデルを指定すると、その機能の全コンセンサス職種が、中央値、モデル別の市場標準料率で計算したフィー、採用コスト総額つきで並びます。
成功報酬型の35%を独占契約の25%へ切り替えると、全行が同時に計算し直されます。CFOの中央値3,325万円で試すと、この10ポイントの差は1名あたり332万5,000円です。
テクノロジー
38職種を数える、指数で一番厚い機能です。クラウドエンジニア1,100万円、DevOpsエンジニア1,150万円、データアナリスト1,000万円の3職種は5冊すべてに載っており、アンカーとしての強度も最上級です。
ラダーの下端はテストアナリストの825万円、上端はCIO(最高情報責任者)の3,300万円。ただしCIOはこの機能で一番割れている行で、載せている2冊は2,000万円と5,000万円、開きが3,000万円あります。
アーキテクチャ系の専門職とリーダーシップ職はカバレッジが薄く、38職種のうち23職種は2冊頼みです。
フィーは上の段まで給与に比例して積み上がります。CIOの中央値だと1,155万円。テストアナリストを1年雇える金額を、フィーだけで超えます。スタック別の分解と、テクニカルアーキテクトが名目上の上司を上回る理由は、日本のテクノロジー給与ガイドで詳しく扱っています。
プロダクト・デリバリー・デザイン
6職種の小さなトラックです。軸はUX/UIデザイナーの850万円で、この機能で唯一の5冊掲載。次に厚いのはプロダクトマネージャーの1,212万5,000円で、4冊です。
一番上はプログラムマネージャーの1,600万円、一番下はWebデザイナーの700万円。読みにくいのはプロジェクトマネージャーで、3冊のレンジが700万円から2,000万円まで、1,300万円の幅があります。中央値そのものと同じ規模のぶれです。
数字より先に、ガイド数の列を見てください。5冊・4冊の行と2〜3冊の行では、同じ表でも信頼していい度合いが違います。
経理・財務
24職種で、指数では2番目に厚い機能。職位ごとのパターンが一番はっきり出る場所でもあります。
入口は経理担当(アカウンタント)の650万円、頂点はCFOの3,325万円。そのCFOを載せる2冊は1,500万円と7,000万円で、開き5,500万円はデータセット全体の最大値です。
裏付けが厚いのは中段です。財務コントローラー1,850万円、FP&Aマネージャー1,262万5,000円、財務マネージャー1,225万円、財務アナリスト800万円。この4行はどれも4冊掲載です。
もうひとつ、財務は経理、FP&A、税務、トレジャリー、監査というレーンごとに別の相場を持っています。レーン別の分解と、「コントローラー」という肩書きが複数の別の仕事を指してしまう問題は、日本の財務・経理の給与ガイドで詳しく扱っています。
CFOの行だけは、必ずガイド数の列とセットで読んでください。2冊掲載で、指数の中で一番割れている行です。
金融のリスク・コントロール
銀行と運用会社が採用する側のリスク・コントロール機能は19職種。全職種がきっかり2冊掲載です。
中身は4本の並走トラックに分かれます。クレジットリスク、マーケットリスク、オペレーショナルリスク、財務コントロール。それぞれアナリストからディレクター、あるいはマネージングディレクターへ登っていきます。
下端はオペレーショナルリスクアナリストの687万5,000円、上端はクレジットリスクのマネージングディレクターの3,175万円。上端の出典レンジは2,500万円から4,500万円です。
序列はどの段でも崩れません。クレジットリスクがマーケットリスクを上回り、マーケットリスクがオペレーショナルリスクを上回る。アナリストの段からマネージングディレクターの段まで、この順番のままです。
全行2冊ということは、ここは参考バンドの集まりです。絶対値を当てにするより、トラック同士の相対比較に使ってください。
営業
12職種。ここで一番大きい発見は、肩書きが同じでも業界が違えば中央値が別物になることです。
セールスマネージャーで比べると、産業・製造が1,400万円、ライフサイエンスが約1,719万円、テクノロジーが2,500万円。セールスディレクターも同じ傾きで、産業・製造の2,125万円に対してテクノロジーは3,375万円です。
3つの業界が1つの肩書きで同じ向きに動いている以上、ノイズとは考えにくい。営業の値段を決めている変数は業界です。
トラック全体はキーアカウントマネージャーの1,025万円から、テクノロジーのセールスディレクターの3,375万円まで。上端の出典レンジは2,000万円から5,000万円です。
同じ肩書きの裏にスコープの差が隠れる。この仕組みは、書類上そっくりな求人でエージェンシーによってフィーの見積もりが違う理由のかなりの部分を説明します。
営業を値付けするときは、業界を指定した行から始めてください。肩書きだけで引いた数字とは、数百万円単位でずれます。
ライフサイエンス
臨床、薬事、メディカルアフェアーズ、品質をまたぐ19職種です。
厚いのは2行。薬事マネージャーの1,500万円と、CRA(臨床開発モニター)の約710万円で、どちらも4冊掲載です。それ以外の大半は2冊掲載になります。
頂点はメディカルアフェアーズディレクターの約2,370万円で、出典レンジは1,500万円から3,500万円。底はCRAです。
本文の数字は読みやすさを優先して万単位で丸めていますが、表には710万256円のような端数がそのまま残ります。パイプラインが各社の公表値をそのまま突き合わせているためで、データ側に見栄えのための丸めは入れていません。
ディレクター級ほどバンドは広がります。この機能では、上の行ほどガイド数の列が効いてきます。レーン別の分解と、同じ「マネージャー」が規制トラックごとに別の値段になる理由は、日本のライフサイエンス給与ガイドで詳しく扱っています。
人事
17職種。指数全体でも指折りの堅いアンカーがここにあります。報酬・福利厚生スペシャリストの900万円で、5冊すべてが載せる数字です。人事ディレクター、人事マネージャーを含む4職種も、それぞれ4冊掲載です。
範囲は給与計算スペシャリストの700万円から人事ディレクターの2,287万5,000円まで。ただしディレクターはこの機能で一番割れる行でもあり、4冊のレンジは1,600万円から3,000万円です。
分布はきれいです。スペシャリスト職は700万円から900万円に、マネージャー職は1,100万円から1,450万円に収まります。
人事は例外的に読みやすい機能です。職位と、スペシャリスト・マネージャー・ディレクターという肩書きの接頭辞だけで、バンドをかなり正確に当てられます。レーン別の分解と、互いに昇進しない7本の専門レーンは、日本の人事の給与ガイドで詳しく扱っています。
サプライチェーン・購買
12職種で、バイヤーの625万円からサプライチェーンディレクターの1,875万円まで。ディレクターを載せる2冊のレンジは1,200万円から2,500万円です。
堅いのはマネージャー級です。サプライチェーンマネージャー1,200万円とロジスティクスマネージャー1,050万円は、どちらも4冊掲載。購買は直接材と間接材がマネージャー級で同額に揃い、どちらも3冊掲載の1,100万円です。プランナーとスペシャリスト職が650万円から825万円の帯を埋めます。
信頼して使えるのはマネージャー級の行です。ディレクターの行は、2冊掲載の参考バンドにとどめてください。
マーケティング
11職種、全行きっかり2冊掲載です。コピーライターの700万円からマーケティングディレクターの1,675万円まで。ディレクターの出典レンジは1,200万円から2,500万円です。
コミュニケーション系は横並びです。コーポレートコミュニケーションマネージャー、社内コミュニケーションマネージャー、PRマネージャーの3職種が、同じ1,050万円に集約されます。
ブランド系はアシスタントブランドマネージャーの750万円からブランドマネージャーの950万円へ上がりますが、それでもマーケティングマネージャーの1,125万円には届きません。
2冊掲載が並ぶ機能なので、絶対値よりも職種同士の相対的な値付けに向いた表です。
デジタルマーケティング・EC
ブランドマーケティングとは別に立てた8職種のファミリーです。目を引くのは、マネージャーとスペシャリストの段差です。
デジタルマーケティングマネージャーが1,225万円、デジタルマーケティングスペシャリストが650万円。ECも同じ形で、マネージャー1,025万円に対しスペシャリストは625万円です。
頂点はヘッドオブデジタルの1,625万円で、出典レンジは1,000万円から2,000万円。3冊掲載はCRMマネージャーの1,200万円、この1行だけです。
マネージャーの肩書きが付くと給与はほぼ2倍になり、フィー欄も同じ倍率でついてきます。
ビジネスサポート・エンジニアリング・小売
残る3つの小さなファミリーで指数が締まります。3つとも全行2冊掲載です。
ビジネスサポート
5職種。指数全体の最低値である受付の477万5,000円から、オフィスマネージャーの1,000万円まで。オフィスマネージャーのバンドは800万円から1,200万円で、機能の最上段としては指折りの狭さです。
エンジニアリング・製造
いまは2職種だけです。設計エンジニアの800万円と、フィールドアプリケーションエンジニアの1,012万5,000円。後者の出典レンジは700万円から1,500万円です。各社のガイド改訂でプールできる職種が増えれば、ここは育っていきます。
小売
マネジメントの3職種です。ビジュアルマーチャンダイジングマネージャー850万円、マーチャンダイジングマネージャー1,100万円、リテールオペレーションマネージャー1,125万円。最後の行の出典レンジは600万円から1,500万円です。
3ファミリーとも、参考バンドとして扱ってください。2冊の一致は数字を支えますが、確定させるほどの厚みはありません。
給与の隣に置いた紹介フィー
指数のフィーは全行、理論年収の35%という1本の式で計算しています。
理論年収は、月給と固定手当を12倍して賞与を足し、通勤手当を除いた金額です。これが人材紹介業界がフィーの計算基準にしている数字で、基本給より総報酬に近い水準になります。基本給ベースで予算を組んでいたチームは、ここで見積もりが上振れします。
35%は市場標準の提示レートです。実際の見積もりは30%から40%に収まり、法定上限の50%は実勢からかけ離れた天井にすぎません。3万か所を超える有料職業紹介事業所がひしめく市場で、この提示レートは驚くほど動きません。この構造が定着した経緯は日本の人材紹介フィーで追えます。
料率を実際に動かすのは、値切りよりエンゲージメントモデルです。独占契約なら25%近辺、成功報酬型なら標準の35%。年収1,100万円の採用で、この10ポイントは110万円の差になります。モデルごとの仕組みはサーチモデルの比較に、それぞれの価格の付き方はエクスクルーシブサーチとはと成功報酬型採用とはにあります。フィー交渉でも、モデルの選択がいちばん効きます。
混同しやすい費目をひとつ切り分けておきます。紹介フィーは、採用という行為そのものの価格です。社会保険料など雇用に付いて回るコストは別枠で、雇用が続く限り毎年かかります。予算上も別のレーンに置いてください。 指数のどの行でも同じ計算を回せるよう、下のカリキュレーターは1,000万円で開きます。「年収」の欄に、クラウドエンジニアの中央値1,100万円を入れてみてください。料率のデフォルトは市場レートで、成功報酬型35%と独占契約25%です。
紹介フィーの円建て額が社内管理コストと空席コストの横に出て、モデル別の合計が並びます。欄はすべて編集できるので、財務マネージャーの1,225万円でもCFOの3,325万円でも、入れた瞬間に結果が変わります。
日本の採用コスト総額のうち、給与は調べれば誰でもわかる半分です。フィーはどのガイドにも載らないもう半分で、採用する側が動かせる半分でもあります。
フィーのデフォルト値は業界標準(理論年収の35%)であり、特定のガイドに帰属するものではありません。詳細は「コンセンサス指数の作り方」のdatasetVersionをご覧ください。
コンセンサス指数の作り方
元データは公開されている5社のガイドで、そこから181職種を照合しました。すべてのガイドがすべての職種を載せるわけではないため、カバレッジは最初から不均一です。内訳は、2ガイドが126職種、3ガイドが31職種、4ガイドが19職種、5ガイドすべてに載るのが5職種です。
給与の基準は発行元でばらけます。基本給を公表するのが2社、総報酬が3社で、181職種のうち132職種は両方の基準が混ざったプールです。理論年収ベースのフィーが、基本給より総報酬側の数字に寄るのはこの構成が理由です。
複数のガイドを1つの職種にプールする条件は2つ。発行元同士の中間値の比率が1.8未満であること、そしてレンジが重なることです。どちらかを満たさなければプールしません。
肩書きの衝突は切り分けたまま保持します。均して偽物の中間値を作ることはしません。たとえばジュニア層の財務コントローラー(600万円〜1,000万円)は、シニア層の財務コントローラー(1,200万円〜2,500万円)のプールから外しました。同じ肩書きを名乗る別の仕事に、シニアの中央値を引き下げさせないためです。
パイプラインは決定的(deterministic)に動き、言語モデルは1つの数字にも触れていません。
出典の帰属はルールが1本だけです。給与セルはすべて、名前を挙げたガイドの公表版まで一語一句遡れます。一方、フィー欄には発行元の帰属が一切ありません。業界標準の35%を機械的に重ねただけで、フィーを特定のガイドに結びつけて出力できるコードパスは存在しません。出典は各社の2026年版、datasetVersion: 2026.07です。
AirTAは、上記のいずれの発行元とも提携しておらず、その承認も受けていません。社名はデータの出典を特定する目的でのみ記載しています。コンセンサスの数値は独立に編集した事実データで、いずれのガイドについても全体・一部を問わず複製していません。
よくある質問
指数はどの給与ガイドを対象にしていますか
マイケル・ペイジ、ロバート・ウォルターズ、ヘイズ、モーガン・マッキンリー、ロバート・ハーフの5社で、いずれも最新の2026年版です。各職種の中央値は、その肩書きを載せる全ガイドのうち、中間値の比率が1.8以内でレンジが重なるものをプールして算出します。ガイド数は、すべての数字の横に表示しています。
給与は基本給ですか、総報酬ですか
混在しており、出典ごとに開示しています。基本給を公表するのが2社、総報酬が3社で、181職種のうち132職種には両方の基準が混ざります。紹介フィーはより大きい理論年収に掛かるため、この差はエージェンシーと契約する前に書面で確認すべき条件のひとつです。
理論年収とは何ですか
月給と固定手当を12倍し、賞与を加え、通勤手当を除いた金額です。日本の人材紹介エージェンシーは、この数字にフィーの料率を掛けます。提示レートは通常35%。総報酬に近い金額のため、基本給から見積もった場合よりフィーは高く出ます。
1つの職種でガイドはどれくらい割れますか
職位に比例して割れます。クラウドエンジニアは5冊すべてが載せて、1,100万円付近に揃います。CFOは中央値こそ3,325万円に集約されますが、載せる2冊のレンジは1,500万円から7,000万円です。実務担当クラスは堅いアンカー、エグゼクティブは出発点、と使い分けてください。
給与データはどのくらいの頻度で更新されますか
各社の発行は年1回で、指数は最新の2026年版を読み込んでいます。給与セルはすべて公表版まで遡れます。表とカリキュレーターの背後にある照合済みデータセットにはバージョンが振ってあり、現在はdatasetVersion: 2026.07。ページと数字は常に同期しています。
ベンチマークから予算へ
束ねた中央値が答えるのは「その職種にいくら払うか」。フィー欄が答えるのは「その人の獲得にいくらかかるか」。ヘッドカウントの承認は、この2つの数字を両方くぐり抜けて初めて通ります。同じ2つの数字は、そのサーチを内製で回すかエージェンシーに出すかを決める材料にもなります。
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