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外資系企業の英語力は実際どのくらい必要か(2026年データ)

32,715件の求人を集計してわかった、外資系の英語要件と職位別の実態です。

Daniel Smith•2026年9月2日•更新日 2026年10月23日•8分

外資系=英語が堪能でないと通用しない。応募をためらう理由として、この前提はよく挙がります。

ただ、日本で公開されている求人32,715件を英語要件で分類すると、ビジネスレベルの英語を必須とする求人は全体の14.0%でした。外資系に絞れば37.5%まで上がります。それでも外資系の求人の25.1%は、英語要件を何も書いていません。この前提は、二つの意味で実態と合っていません。

外資系企業の英語力の要件(必須と記載なしの割合)

外資系企業の募集のうち、英語要件の記載がないものは25.1%です。ビジネスレベルの英語を必須とするのは37.5%で、残りは一定の英語力を求めています(1,135社32,715件の集計、2026年10月21日時点)。

日系企業でビジネスレベルの英語を必須とする求人は7.8%です。外資系の37.5%とは約5倍の差があります。この集計では、最終的な支配グループの本社が日本国外にある企業を外資系と分類し、外国株主が少数保有する日本上場企業は日系に分類しています。1,092社を1社ずつ分類し、分類が済んでいない5社は除外しました。

外資系の求人は6,760件・476社で、求人全体の約21%です。ところが、市場でビジネス英語を必須とする求人は7件に1件あり、その要件の約55%を外資系が書いています。それでも、外資系の求人の6割以上はビジネスレベルの英語を必須としていません。

市場全体を業界別に見ると、差はさらに大きく開きます。製薬は35.9%、銀行は27.7%です(ただし分母の70%を1つの銀行が占めます)。一方で小売は3.4%、建設は1.0%、運輸は1.5%です。どの業界に応募するかで、出発点はここまで変わります。

外資系の転職でTOEICのスコアは必要か

TOEICの最低スコアを明記している求人は、32,715件中2,607件、約8%です。「スコアの足切りで落とされるのでは」という不安には、まずこの件数が答えになります。残りの約92%の求人は、点数の条件を何も書いていません。

スコアが書かれる場合に最も多いのは600点で、656件・96社です。800点は596件・111社で、企業内受験者のうち800点以上は、およそ9人に1人にとどまります。

企業数で数えると、600点が96社、700点が110社、800点が111社と、ほぼ3等分に分かれます。市場に共通の合格ラインがあるなら、どこかの点数に集まるはずです。この分かれ方が示すのは、各社それぞれの社内基準です。

転職エージェント各社の記事では、TOEIC 700〜730点が英語力の目安として紹介されることがあります。求人票を横断して集計したデータがこれまで存在しなかったため、経験則がそのまま広まってきた形です。実際にスコアが書かれた2,607件を見ても、点数は600点から800点まで分散しており、単一の目安はデータからは確認できません。

もう一つ、スコアが英語力のどの部分を測っているかという問題があります。求人票に書かれているのは、英語での会議、プレゼンテーション、交渉といった話す場面です。しかし選考に広く使われるTOEIC Listening & Readingは、スピーキングを測定しません。

IIBCが公表する「TOEIC Program DATA & ANALYSIS 2026」では、L&Rで800〜895点の層のスピーキング平均は200点満点中131.4点です。IIBCが「少なくとも部分的に意見の根拠や説明が聞き手にとって不明瞭なことがある」とするスコアレンジ(130〜150点)に入ります。

TOEIC 800という要件が保証するのは高い読解力と聴解力であり、平均的には、英語で自分の立場を論理的に説明できる人材ではありません。

なお、スコアを指定する求人が挙げるテストはほぼTOEICのみで、英検・TOEFL・IELTSはほとんど現れません。英語面接を課すかどうかは企業ごとの選考設計で、求人票から読み取れるのは要件の記載までです。

【職位別】外資系の英語力の要件

求められる英語力は、職位で大きく変わります。職位をタイトルに明記した求人(判定済みの約21%)で見ると、ビジネスレベルの英語を必須とする割合は、エントリーの6.1%に対し、ディレクターでは60.0%です。エントリーでは16件に1件、ディレクターでは5件に3件です。タイトルに明記のない求人は推定せず、集計から除外しています。

中間はシニア29.8%、リード19.9%、マネージャー32.7%で、リードはシニアを下回ります。要件が本格的に増えるのは、役職が上がってからです。「まず入って、働きながら英語を伸ばす」という順番は、この分布と矛盾しません。

給与の差も測れます。有効な給与を明記した15,935件では、給与中央値は英語要件の記載なしで700万円、何らかの英語要件ありで825万円です。水準そのものは職種別の給与中央値で確認できますが、この差は同じ職位グループの中でも消えません。エントリー・ジュニアで42%、シニア・リードで9%、マネージャー以上で17%と、どの職位グループでも差が残ります。

この給与差はスキルそのものへの対価で、職位の高さの反映にとどまりません。

英語に自信がなくても外資系に応募できるか

英語力に自信がなくても、応募できる求人は具体的に絞り込めます。外資系の求人の25.1%は英語要件を何も書いておらず、ビジネスレベルの英語が必須になる求人は、特定の業界とシニア以上の役職に集中しています。エントリーの求人で必須とされるのは6.1%です。

企業の側にも、要件を絞る動機があります。企業内受験者のうちTOEIC 795点以上と推計されるのは11.8%で、バイリンガル人材の不足は採用側の長年の課題です。すべての求人に高い英語要件を付ければ、採用は成立しなくなります。

一つだけ、逆方向の注意もあります。市場全体では67.0%の求人に英語要件の記載がありません。記載がないことは求人票についての事実であり、入社後に英語を使う場面がないという保証まではしません。

求人票で確認すべきなのは、スコア欄よりも職務内容です。会議は英語か、資料は英語か、顧客は国内か。要件の記載は、その職務の要約にすぎません。

英語の使用度合いで絞り込んだ求人の一覧があります。求人票の記載から「英語の記載なし」「一部で英語を使用」「日常的に英語を使用」に分類しており、応募は各社の採用ページで行う形です。

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